3月31日に開幕したペナントレースも前半戦86試合を消化した。49勝35敗。14の勝ち越しで首位ドラゴンズに1.5ゲーム差に迫る第2位での折り返しだ。

前半戦を振り返り岡田監督は、「もっと勝ち星があったに越したことはないけれど、個人の成績や故障者のことを考えれば、数字の割りにはいい位置に来ている」と評価した。

まず投手陣から総括すると、一番に名前が挙がったのが杉山投手だった。「誤算」との表現は、昨年先発ローテ入りし9勝を挙げた若き右腕に対する期待以外の何物でもない。未だ勝ち星を手中にできず、もがき苦しむ杉山投手の復活を、岡田監督は待ち望んでいる。

一方で「嬉しい誤算」と讃えられたのはダーウィン投手だ。開幕当初、ウィリアムス投手が抜けたことにより空いた外国人枠。そこに滑り込むや、中継ぎだけでなく先発もこなすなどフル回転。
「去年から力をつけてきた。ここまで戦力になってくれるとは…!」と岡田監督を喜ばせる成績は、防御率1.90という立派な数字。連投がきくということで、後半戦はまた中継ぎに戻る予定だが、どのポジションでも高い身体能力を発揮してチームに貢献してくれるだろう。

久保田投手の故障により、クローザーに任命された藤川投手に関しては、「今、後ろをやってますが、今年は久保田が帰ってきてもこういう形で最後までなると思います」と、今季終了まで守護神として最後のマウンドを任せることを明言した。前半戦、「連続イニング無失点47回2/3」という球団新記録をマークした藤川投手。後半戦もその唸りを上げるまっすぐで、胸のすく“奪三振ショー”を見せてくれるに違いない。

打線については、「開幕から調子が上がらなくて、でもそこは皆でカバーし合ってきた。打線は皆、力を発揮できなかったが、ピッチャーに助けられた。後半は打つ方で助けなアカン!」と奮起を促し、金本選手や赤星選手ら故障しながらも出場した選手に対し、「ゲームに出られる状態じゃない中で、無理して出た部分がある。後半、体を万全にして、取り戻してほしい」とより一層の期待をかけた。

打撃に関しては和田バッティングコーチも「投手陣に迷惑をかけた」と、日増しに痛む胃の辺りをさすりながら話す。しかし「確かに打率は低いんだけど、いいピッチャーを打ってるし効果的に点を取っている」と分析し、その中で勝てているということ、すなわちそれは「去年よりチーム力が上がっているということ」と評価もしている。

昨年との一番の違いは「今岡の状態が良くなかったこと」、そしてそれによって「打順の組み方が難しくなったこと」だ。「楽天戦でカネ(金本選手)が極端に歩かされて…それを他球団もマネしだしたんだよね」。つまり「五番打者不在」が、四番との勝負を避けさせるようになったのだ。

今岡選手が故障で離脱後も、片岡選手や濱中選手が「五番」に名を連ねたが、「五番に入った選手がプレッシャーを感じて打てなくて苦しんだね」。

しかしその苦しみからも漸く抜け出した。今季チーム一番の安定感を誇るシーツ選手を五番に据えたことにより、「やっと本来のタイガースの打撃陣の調子に戻りつつある」と、和田コーチも安堵の表情を見せる。

苦しみながらも、その中で着実に成長している選手の姿を、和田コーチはしっかりと見ている。とりわけ3年目を迎えた鳥谷選手の進歩には目を細める。「目立つ、目立たないは別にして、一番安定している。数字、内容ともにね。今まで年々目に見えて良くなってきたけど、今年は良くなりながら安定してるよ」と絶賛する。

その要因としてまず、「去年から守備の不安がなくなってきたことが大きい」と、守備での成長が打撃に好影響を与えていることを挙げる。「周りが“ショート・鳥谷”を認めだした。後は周りでなく自分との戦いなんだ」ということだそうだ。

そしてもう一つの要因は「プロとしてのスピードが安定し始めたこと」だという。「技術は持って入った選手。あとはスピードだったが、それが今年は上がったし、安定している」。それを成し得たのは、日々積み重ねてきた努力だ。「隠れた努力っていうのは当たり前なんだよ。でもその当たり前のことが、なかなか当たり前にできない。それを平気で続ける力、『継続は力なり』を身をもって示してるよね」とその姿勢に、和田コーチも敬意を表している。

そして同時にその賞賛は、金本選手にも向けられる。「カネの影響だよね。カネの背中を見ているから続けられるんだ」。鳥谷選手だけではない。赤星選手も受けた影響は限りない。

「野球選手である限り、色んな故障はある。去年も骨折しながらも出て、今も足の状態が悪いながら出ている。痛いと言ってしまえば楽なんだけど、それで休む人間、出続ける人間…トータルで見たら、出続けてる人間が勝つ」と和田コーチは信念をもって話す。

「赤星の場合はヒット打つ打たない、走る走らないじゃなく、出てることが相手にプレッシャーになるんだよ、カネと一緒で。悪いなりの野球の仕方を知ってるし、出ることでチームにも安心感を与える」とその“無形の力”を認めた上で、「でも間違いなく状態は上がってるよ」と後半戦での巻き返しに期待を込める。

岡田監督も「やはり赤星が塁に出て、走れる状態でチームに勢いをつけてほしい。リードオフマンでチームを引っ張ってほしい」と得点力アップをその足に、そのバットに託している。

後半戦残り60試合。まずはドラゴンズとの直接対決で幕を開ける。「打って弾みをつけたい」。こう岡田監督は意気込み、「まだ力を出していないという前半やった。投打ともに手応えはあるが、夏場は打つ方が助けてあげないといけない」と、より一層の打線の奮起を促す。「3年間、優勝争いをしている中で、後半どのようなゲームをしたらいいか、皆が分かってる」。

そうだ。1試合1試合、皆で戦っていく。それが、ずっと変わらないタイガースの戦い方だ。

【阪神タイガース公式サイト トラ番担当記者コラムVol.2006-23 (2006年7月27日)】
http://www.hanshintigers.jp/news/column/c06_23.html
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