(第88回全国高校野球選手権大会、第7日、2回戦、早実11-2大阪桐蔭、12日、甲子園)

早実(西東京)のエース・斎藤佑樹投手(3年)が“ナニワの新怪物”、中田翔外野手(2年)擁する大阪桐蔭(大阪)を9回6安打2失点に押さえ込み、完投勝利。中田からの3三振を含む毎回の12奪三振で、11-2と圧勝した。打線も船橋悠外野手(3年)の3ランなど、13安打11得点と爆発した。エースの荒木大輔(現西武投手コーチ)を擁した1982年以来、24年ぶりに3回戦へ進出。西の雄を倒したことで、夏は初めて、春を含めると王貞治(現ソフトバンク)がエースを務めた57年以来の日本一が見えてきた。



地鳴りのような大歓声が銀傘に反響して降り注ぐ。早実がセンバツ覇者・横浜を破った大阪桐蔭を投打で圧倒した。

「(中田は)甘いボールを投げなければ打たれない自信がありました。かけひきは必要なかった。経験の違いでしょう、やっぱり2年生だなと思いました」。大阪桐蔭の中田を4打数無安打に封じた先発の斎藤は、いつものポーカーフェースがうそのように興奮気味にまくしたてた。

怪物のバットが3度、空を切った。第1打席で内角高め、第2打席は外角低めの直球で空振り三振を奪うと、第3打席は内角直球でつまらせ左飛。この日最速148キロをマークした八回の第4打席は、134キロのフォークで3つ目の空振り三振を奪った。観衆のド肝を抜く真っ向勝負だった。

失点は5点リードの三回に浴びた2ランだけ。三回以外は三塁を踏ませず6安打完投。毎回の12奪三振と躍動した。

好投するエースを援護したのが5番・船橋だ。一回二死一、二塁で先制の右前適時打。1点リードの三回二死一、二塁には超満員の右翼席へ3ランを打ち込んだ。そして五回の第3打席でも左越え二塁打を放って3安打4打点。1回戦(対鶴崎工)の4安打3打点に続く大当たりだった。

忘れもしない7月31日。西東京大会で優勝を決めた翌日だった。商社マンとしてタイ・バンコクに単身赴任する船橋の父・伸哉さん(46)が脳内出血で倒れた。「甲子園に出られたので一時帰国する予定でした。おやじのためにも打ちたかった」。悲壮な決意で甲子園に乗り込んだ。

そして王先輩のためにも-。大一番を迎える前夜には、再入院したOBのソフトバンク・王監督から「1回戦の大勝を忘れて、うぬぼれることなく試合に臨め」と関係者を通じて激励も受けた。

打線は2試合連続2ケタ得点。そして今大会屈指の強打線を封じ込んだエース…。甲子園の大観衆の前でナインは着実に強くなっている。

最後に斎藤がチーム全員の決意を代弁した。「勝っていくことが王先輩への恩返しになる。早実史上、達成できなかった夏の優勝を目指します」

夏の最高成績は25(第11回)、80年(同62回)の準優勝。王監督も果たせなかった夏制覇の偉業を、早実ナインはしっかりと見据えている。

(吉村大佑)

◆13安打11得点の大勝に早実・和泉監督
「どうしちゃったんでしょうね。こんなに力があるのかと思いました」

★川西が“初体験”!
人生初のサク越え本塁打は貴重な一打となった。6-2の八回無死一塁で打席に立った1番・川西は右翼席に飛び込むダメ押し2ランを放ち「ランニングホームランはありますが人生初のサク越えです。ホームを踏むまでスタンドの歓声がすごくて幸せでした」。シニアリーグの全日本選抜でチームメートだった大阪桐蔭の中田から試合後にアイコンタクト。
さらなる奮闘を誓った。

◆ソフトバンク・王監督
「西東京大会でも出なかった本塁打が飛び出したり、強打桐蔭のお株を奪う打撃で予想以上の大差がついた。斎藤投手も堂々とした見事な投球だったし、のびのびとした早実らしい戦いぶりに、OBとして胸が張れます」

★今大会最多の5万人!
早実の「超高校級投手」斎藤と、大阪桐蔭の「怪物」中田の対決となった第4試合は、お盆にかかる土曜日ということもあって、今大会最多となる5万人の観衆が詰め掛けた。内野席の入場券売り場では、売り切れのアナウンスにもかかわらず長蛇の列。外野席では試合を待ち切れないファンたちが席取りに押しかけ、前の試合の序盤から早くも立ち見の姿が見られた。

【2006/8/13 サンスポ.COM】
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