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 (日本シリーズ、日本ハム6-1中日、第3戦、日本ハム2勝1敗、24日、札幌ドーム)ガッツだぜ!! やっぱり男だぜ!! 日本シリーズ第3戦は、不振だった日本ハムの主砲・小笠原道大内野手(33)が一回、今季のプレーオフ、日本シリーズを通じて初安打となる逆転2点タイムリー二塁打。6-1で中日に連勝し、対戦成績を2勝1敗とした。史上初めて北海道で開催された日本シリーズを白星で飾った日本ハムは、やはり史上初となる北海道胴上げに、大きく一歩前進した。





 寡黙なサムライは右腕を突き上げて、喜びを爆発させた。誰もが待ち望んだ一撃。パ・リーグ2冠王の主砲・小笠原がシリーズ9打席目、プレーオフから通算すると17打席目でようやく放った初安打。長かったトンネルから抜け出す一打は、値千金の逆転打となった。

 「気持ちで打ちました。(これまで)みんながカバーしてくれて勝ってきた。なんとか結果を残したかった」

 1点を追う一回。森本の右前打と相手ミスで得た無死一、二塁。打席に向かう小笠原の目には4万1798人の味方が見えた。耳には、力強い声援がこだました。体が自然と、力みのないフルスイングを思い出した。143キロのシュートを左中間へ一閃。2人の走者が次々と本塁を駆け抜けた。

 第2戦を終えて6打数無安打。「そんなに状態が悪いとは思わなかった」。言葉では努めて平静を装ったが、“見えない重圧”に体は押し潰されそうだった。日本シリーズという名のプレッシャー。「やり直しがきかない。独特の雰囲気がある」。10年間あこがれ続けていた舞台は、体に染み込んでいたはずの打撃感覚を狂わせた。

 前日23日には居残りでティー打撃。ジュラルミンのケースに乾燥剤を入れてバットを持ち歩き、スイングすれば1グラムの違いすら判別できるという男が、鬼の形相で何度も何度も、何度もバットを振った。そうしないと不安でたまらなかった。

 苦悩は、家族の顔を見ることで膨らんだ。最愛の2人の娘は7歳と6歳に成長した。テレビの画面や球場で、パパの打席にだけ反応していた子供たちは、今季途中からチームの勝敗まで気にするようになった。「今では小笠原道大のファンじゃなくて、ファイターズのファンになっちゃったよ」。家族の前で誓った“優勝”の約束。自らの不振で破るわけにはいかなかった。

 史上初めて北海道で開催されたシリーズ。22日には初雪も観測され、23日は最低気温1.3度まで冷え込んだ。ひと昔前ならプロ野球界の頂点を決する一戦が、この時期に札幌で開催されるなどと誰が想像しただろう。

 そんな歴史的な試合を白星で飾り、次の願いはやはり史上初となる北海道での日本一胴上げ。球団を誘致した関係者から、初めてプロ野球を目にした幼いファンまで、それは道民約563万人の夢-。

 「ひとつひとつのプレーは“個人”だけど、それがつながっていくのが、今年のファイターズの野球。みんなで戦っていきたい」と小笠原。あと2勝。第1戦を落とした後の2連勝は日本一確率73%というデータもある。目を覚ましたサムライが北の大地でいよいよ天下を統一する。


【2006/10/25 サンスポ.COM】
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