close
 プロ野球、ロッテは昨年12月、ボビー・バレンタイン監督(58)の今季限りでの退団を発表した。今季の結果を待たず、シーズン前の決断は異例だ。背景には、球団財政を圧迫する指揮官の高額年俸に加え、バレンタイン監督が事実上、実権を握っていた球団運営をフロントに戻すための主導権争いがあった。(神田さやか)

 昨年12月21日、千葉市の千葉マリンスタジアムで記者会見した瀬戸山隆三球団社長は、今季で契約が切れるバレンタイン監督との契約を延長しない考えを明らかにした。

 「球団全体の大改革をしていく必要がある。バレンタイン体制はあと1年ということです」

 瀬戸山球団社長は、日本一になっても「契約延長はない」と言い切った。今季終了前に、球団が契約を延長するか、否かが注目されるはずだったが、シーズンインを待たずして決着した。

 決断のきっかけは、バレンタイン監督が昨年12月中旬、米国のウインターミーティングに参加し、球団に無断で韓国人選手の身分照会を行ったことだった。

 瀬戸山球団社長の行動は素早かった。同月15、16の両日、重光武雄オーナー、重光昭夫オーナー代行と会談し、「今季限り」の了承を取り付けた。何も知らないバレンタイン監督は同月19日、事情説明のために緊急来日し、瀬戸山球団社長から通告を受けた。

 バレンタイン監督がロッテで挙げた功績は大きい。2005年に31年ぶりの日本一へと導き、万年Bクラスだったロッテを優勝争いに絡むチームへと育てた。ファンサービスも積極的に行い、ロッテファンは飛躍的に増えた。

 だが、一方で長期政権によるひずみも出ていた。外国人選手はもちろんのこと、ドラフト会議の指名選手もバレンタイン監督の一声で決まり、スカウトが口を挟む余地はほとんどなかった。

 営業面にも口を挟むことが少なくなかった。加えて、5億円の高額年俸も赤字経営の球団には負担だった。

 昨季は、チームがクライマックスシリーズ進出をかけて争っていた9月、バレンタイン監督が「フロントから辞職勧告を受けた」と発言。球団内は混乱した。

 契約最終年となる今季も同様の混乱が予想され、選手からは「あんな騒動は勘弁してほしい」との声があがっていた。瀬戸山球団社長は「シーズン前にはっきりさせたかった」と話した。

 バレンタイン監督との決別を決断した球団は早速、フロント主導によるチーム編成に乗り出した。第1弾として、米大リーグのフィリーズを自由契約選手となった井口資仁内野手を獲得した。

 バレンタイン監督の今季での退団が決定している中で、選手がモチベーションを保ち、優勝を勝ち取れるのか。難しいシーズンになる。

【2009/1/25 MSN産経ニュース】
arrow
arrow
    全站熱搜

    ht31sho 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()