【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)24日(日本時間25日)=米沢秀明】野球の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で連覇を成し遂げた日本代表の原辰徳監督(50)以下、28選手が歓喜の優勝から一夜明け、会見を行った。決勝の韓国戦で決勝タイムリーを放ったイチロー外野手(35)は、「侍ジャパン」を「かわいこちゃんアイドル」に例える名言で大会を“総括”した。ポジション別優秀選手に日本からはMVPの松坂大輔投手(28)、岩隈久志投手(27)、青木宣親外野手(27)の3人が選ばれた。

 宿敵・韓国を延長10回の激戦で打ち破ってのWBC連覇。ロス市内の宿舎で午後2時過ぎから開かれた一夜明け会見には、歓喜があふれていた。原監督はじめ、所属するマリナーズのキャンプ地、アリゾナ州ピオリアに向かった城島を除く全選手がひな壇に並び、どの顔にも笑みがあふれていた。

 前夜、韓国を5-3で破って優勝を決め、チームは球場で祝勝のシャンパンファイトを行い、一時解散。すでに深夜2時を回っていた。原監督、主力組はテレビ出演し、そのほかは宿舎で、ロスの街で祝杯をあげた。しかし、松坂は「街に出たらもう(祝杯をあげる)店が閉まっていて、コーラで乾杯しました」と苦笑い。

【イチロー「勝って侍になれてホッ」】

 選手らは、ほとんど寝る間もなく会見に臨んだ。それでも、優勝の感激冷めやらぬかのようにハイテンション。主役は、やっぱりイチローだった。マイクを渡されると、表情はクールに保ちながら、狙っていたかのようなコメントを発した。

 「侍ジャパンというネーミングが、ハードルになった。『私、アイドルなの』といいながら、かわいくないと困るのと同じで、侍といいながら勝てないのはまずい。最終的に勝って侍になれてほっとしている。個人的には最後まで足をひっぱり、韓国やキューバのユニホームを着たりしたが、最後にジャパンのユニホームを着て、おいしいところだけいただきました。ごちそうさまでした」

 1次ラウンドから不振を極め、負ければ敗退が決まる2次ラウンド敗者復活戦のキューバ戦。送りバントを失敗した際には、ベンチへ戻るなり「すいません。オレの責任です。心が折れそうだ。みんな、何とかつないでくれ」と声をあげたという。負ければ“戦犯”と呼ばれるのが必至の状況で、天才が追い詰められていた。

 しかし、決勝の韓国戦では、決勝打を含む4安打。威信を回復した安堵感からか、舌も滑らかだ。「大事なのは向上心。よくチームにはリーダーが必要という安易な発想がある。外から自分がリーダーということをいわれたが、実際にはこのチームの中ではそういうことは何も必要なかった。向上心さえチームの中にあればいい」と締めくくった。

【松坂「野球人生にとってよかった」】

 またこの日、WBC主催者は、大会取材記者の投票による計12人の「オール・トーナメント・チーム(ポジション別優秀選手)」を発表し、日本からは松坂、岩隈、青木の3人。準優勝した韓国からは投手、一塁手、三塁手、指名打者の4人が選ばれた。

 2大会連続で3勝をあげてMVPに輝いた松坂は「この時間は野球人生にとってよかった。(1人私服で会見に現れ)スーツも荷物と一緒に出してしまった」とおどけ、青木は「一人一人の存在感がありチームに結束力があった。世界に日本野球のすばらしさを伝えられた」と感激の表情。また“陰のMVP”の声が高い岩隈も「自分自身のパフォーマンスは発揮できたのではないかと思う。今後の野球人生に生かしていきたい」と声を弾ませた。

 原監督は、こう結んだ。「V2、世界制覇が達成できた。選手、ファン、日本中のみなさん、LA(ロス)の大地、空気のすべてにおいて感謝の気持ちでいっぱい。港を出てチャンピオンという港にファイナルで着き、あとは泳いでもいけるという安心感の中、優勝を達成したのは日本球界にとっても意義がある。未来永劫に歴史を刻んだ侍たちだった」

 世界一の座に就いた侍たちは、会見後に解散。メジャー組は米各地のキャンプ地へ、帰国組はチャーター機で成田へ向けてそれぞれ飛び立った。日本時間25日夜、成田へ凱旋する。

 ■長嶋茂雄元巨人監督「最後まで粘り強く戦い抜いたサムライの姿に、これまでにないくらいの深い感動をもらった。才能あふれる選手を一つに束ね、勇気ある采配を振るい続けた原監督も世界に誇れる。素晴らしい勝利に、日本中が勇気づけられた気がする」

 ■阪神・星野SD「WBCの今大会優勝と連覇達成、本当におめでとう。ピッチャーの起用法が抜群に良かったし、選手もよくそれに応えてくれた。日本の野球を取り戻してくれたこと、あらためて野球の素晴らしさを実感させてくれたことに感謝、感謝の気持ちでいっぱいです」


【2009/3/25 ZAKZAK】
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