【ニューヨーク=久保木善浩】 

TVカメラ15台、入団時並み大報道陣

左手首を骨折したヤンキースの松井秀喜外野手が16日、本拠地ヤンキースタジアムで負傷後初めて会見し、 今季中の復帰に意欲をのぞかせた。一方、これまで「いつかはこういう日が来るのではないか」という恐怖感を心の中に抱えてきたと激白。野球人生初の挫折により、「鉄人」「陽気な性格」といった従来のイメージとは違った人間像も見えてきた。

現地の午後3時10分、松井は愛車の後部座席に座って球場入り。白の長袖シャツ、ジーンズに左手を器具で吊った姿で、ファンの歓声に右手でこたえながら関係者入り口に向かった。

普段、松井が試合後の取材に応じる会見室には日米合計で約70人の報道陣が詰めかけ、15台のテレビカメラがスタンバイ。午後4時、トーリ監督や同僚らへの経過報告を終えた松井本人が現れると、けたたましいほどのシャッター音が室内に響いた。

会見はまず米メディアが通訳を通し、続いて日本の報道陣が米メディアと重複しない内容で質問。入団会見並みの大規模な記者会見は米国19分、日本13分で計32分に及んだ。

松井はまず、「気分は今はもう、かなり落ち着いています」と、現在の心境を説明。今後の見通しについて「骨の状態しだい」と前置きした上で、「今年中には戻りたいと思っているし、ケガをしても今までより劣るパフォーマンスでは戻ってきたくない」と、今季中の復帰とあわせて、さらに進化した状態で戻りたいとの希望を述べた。

また、1768試合で途切れた連続試合出場記録については「長い間、試合に使い続けてくれた方、サポートしてくれた方はたくさんいると思う。そういう方々の『続けさせてあげたい』という気持ちを考えると残念です」。その半面、自らの心情は「僕自身はね、いつかはこういう日が来ると思っていたし、特別残念だという気持ちはそんなにないです」という。

記録が途切れたという認識は「(負傷後)すぐでしたね。1イニング以上守らないと出場にならないのは知っていましたし、(ベンチに)引っ込んだ時点でそのことはすぐに分かりましたけど」と振り返った。

今回の骨折は野球人生初の挫折といっていい。「今まではすべてが順調だったような気がするんですよ」と、一段とゆっくりとした口調で語り始めると、「自分の心の中では『いつかはこういう日が来るんじゃないか』っていうか、心の中の本当に小さな部分なんでしょうけど、どこかでおびえているというか、そういう自分がいたような気がするんですね」と、いつも通りの断定しない表現ながら、常に抱えてきた「おびえ」の存在を認めた。骨折が野球人生初なら、気弱な一面を吐露したのも初めてだろう。

野球人生初といえば、シーズン中にプレーをしないのも初めて。「朝起きても球場に行かなくてもいいのは非常に不思議ですし、時間の流れがゆっくり感じられる」とし、「もしベンチで応援しろというのなら毎日でも来ますけど」と、“応援団”を買って出た。また、右手だけでの日常生活は「意外と大丈夫ですね。右利きなんで問題ないです」という。

医師の診察を受けた後、午後6時50分にヤンキースの報道陣用ガイドブックを右手に抱えて帰宅した。

自らの早期復帰を祈りながら、しばらくはテレビの前で応援する日々が続く。

【2006/5/17 ZAKZAK】
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