プロ野球阪神は29日、ポスティングシステム(入札制度)で米大リーグ移籍を目指す井川慶投手(27)との交渉権を獲得したのは、松井秀喜外野手が所属するヤンキースだったと発表した。落札額は2600万ドル(約30億円)。

 阪神は28日に最高入札額の受諾を日本のコミッショナー事務局を通じて大リーグ側に通知していた。ヤンキースには30日間の独占交渉権が与えられ、年俸交渉などを行う。期間内に合意に達し、ヤンキースから入札額が入金されれば、移籍が成立する。

 井川がヤンキースと契約すれば、日本選手では伊良部秀輝投手、松井秀喜外野手に次いで3人目となる。

 AP通信は、ヤンキースと同じニューヨークに本拠地を置くメッツも交渉権獲得に応札し、入札金額は1500万ドル(約17億円)だったと報じた。

 今オフの同制度での落札は、西武の松坂大輔投手(レッドソックスが落札)、ヤクルトの岩村明憲内野手(デビルレイズが落札)に次いで3人目。



◆井川慶投手の話
「伝統のある球団で、メディアの注目もある。本当にやりがいのあるチーム。松井秀さんがいるので心強い。ニューヨークのファンには、ローテーションを守って試合をつくるという自分のスタイルをみてほしい」




◆牧田俊洋阪神球団社長の話
「井川君は縦じま(のユニホーム)に縁があるのかな。金額は阪神タイガースの代表として評価してもらえた結果。球団運営全般に有効に使いたい」




◆ヤンキース・ブライアン・キャッシュマン・ゼネラルマネジャーの話
「井川慶の日本での素晴らしいキャリアを見続けてきた。交渉の機会を得られてうれしい。阪神タイガースは成功に満ち、認められた球団。どれほどファンが熱狂的かは、何人もの方に聞かされた。もし井川をブロンクス(ヤンキースの本拠地)に連れてくることができるなら、彼が慣れ親しんだのと同じ熱狂を用意できる自信がある」




★若さと左腕に高い評価 故障少なく先発入りも

 井川は、27歳という若さと左腕であること、そして、何より大きな故障歴がなく、投球回数が多いことが高い評価につながったのだろう。オープン戦で本来の力を出すことができれば、開幕からローテーション入りの可能性がある。

 5年連続2けた勝利を挙げ、この間の通算勝ち星は75勝(43敗)。2005年こそ投球回数は172回1/3だったが、それ以外の4年は、いずれも200回を超えている。井川のタフさは数字で裏付けられる。

 ヤンキースで現在、先発入りが確実なのは、ことしリーグ最多タイの19勝を挙げた王建民、15勝のムシーナ、17勝の左腕ジョンソンの3人。ヤンキースはさらにジトらフリーエージェントの大物獲得を狙っているといわれる。

 井川は、ヤンキース移籍後2年でわずか4勝しかマークしていない故障上がりのパバーノ、期待の若手ヒューズらと先発ローテーション入りを争うことになる。

 2000年を最後にワールドシリーズ制覇から遠ざかり、毎年のように投手陣の強化が叫ばれている名門球団。シーズンを通して安定した力を発揮できる井川が、先発陣の一角を占める可能性は高いといえる。(共同)



★松坂資金を投入か-ヤンキース、獲得失敗の教訓生かす

 ヤンキースが井川の交渉権を獲得した。約30億円という高額な応札は、松坂を取り逃がしたショックの反動に見える。勝利は“松坂資金”をそのまま注ぎ込んだ結果と言っていいだろう。

 早い段階から松坂獲得を狙っていたヤンキースにとって、レッドソックスの約60億円という額は予想をはるかに超えていた。勝負に出てくるすべての球団に勝つためには、常識外れとも思える巨額な応札をするしかない。松坂獲得の失敗が教訓となった。

 ジーン・アフターマン副ゼネラルマネジャー(GM)を中心に、日本野球の調査に力を注ぐヤンキースは、日本選手獲得に自信を持っていた。だが一発勝負のポスティングシステム(入札制度)の前では、日本で築いた情報網も無用となる。井川の交渉権獲得で、ようやく面目を保ったというところか。

 西武や阪神に示された高額を見て、日本球界の反応も微妙に変わってくる可能性がある。これまで否定的だった主力の放出を再考する球団が出てきても不思議ではない。(共同)

井川、松坂を意識 「金額の多さに驚いた」

 井川投手はストライプのスーツをまとい、晴れ晴れとした表情で会見に臨んだ。



-ヤンキースに対する印象は。
「松井秀喜さんがいるチーム。伝統もあるし、メディアの注目もあるのでタイガースに似ている。(レッドソックスとの)ライバル関係もあるし、やりがいのあるチーム」




-レッドソックスは松坂大輔投手を落札したが。
「競い合って、投げ合って日本を盛り上げられればと思う」




-落札額については。
「金額の多さに驚いている」




-落札球団が決まった心境は。
「着々と進んでいるなという感じ。来季に向けてやらなければいけないと実感した」




-チームへの希望は。
「自分はスターターとしてやってきた。スターターとして働ければ」




-ニューヨークのファンに向けて。
「日本でやってきたように、ローテーションを守って試合をつくるという自分のスタイルをみてほしい」




★喜びいっぱい夢いっぱい 熱っぽく語る井川投手

 落札球団は、輝かしい伝統と栄光に包まれたヤンキースだった。29日午前、大阪市内のホテルで記者会見した井川慶投手は「伝統のある球団で、メディアの注目もある。タイガースと同じような感じかなと思う。本当にやりがいのあるチーム」と終始笑顔をのぞかせながら、喜びいっぱいに話した。

 ニューヨークの街は「映画で見た」程度の印象しかないと言うが、ヤンキースには松井秀喜外野手がおり「心強いです」とも。目標は「とにかく先発として働く」ことだ。熱狂的なことで知られるファンに「ローテーションを守って、試合をつくるという自分のスタイルをみてほしい」と熱っぽく語った。

 同じア・リーグ東地区のライバル球団、レッドソックスは現在、松坂大輔投手と契約交渉中。「(松坂と)投げ合って日本を盛り上げられたらいい」と夢は膨らむばかりだ。海の向こうで注目を一身に浴びる日々が、もうすぐ始まる。

【2006/11/29 サンスポ.COM】
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