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 ヤクルトからポスティングシステム(入札制度)でメジャー入りを目指していた岩村明憲内野手(27)が16日、デビルレイズ入りを正式表明した。3年総額770万ドル(約9億円)でサイン。球団が選択権を持つ4年目も年俸が最大525万ドル(約6・2億円)となる破格契約を結んだ。夢の舞台に立つスラッガーは「3割にはこだわる。本塁打もどんどん打ちたい」と抱負を語り、一発の後のパフォーマンスでもファンを魅了し、デ軍の救世主になる考えを明かした。

 輝ける未来の扉に手をかけた。デ軍と正式契約を結び、夢の扉をいよいよ押し開ける所にたどり着いた。「興奮しています。無事契約できて、ホッとしています」ポスティングでのメジャー挑戦を表明してから2か月。岩村が最高の笑顔を見せた。

 「メジャーリーガー・岩村」の誕生だ。デ軍が最終的に用意した条件は、05年に井口がWソックス入りする際の2年総額495万ドル(約5・8億円)を上回るもの。数字に表れた期待の高さに「笑っていられるのは今日だけ。その期待に応えるだけの練習をしていかないと。夢はメジャーに行くことではなく活躍すること」と表情を引き締めた。

 契約は3年。4年目は球団が選択権を持つが、年間500打席以上クリアすれば最大525万ドル(約6・2億円)の年俸に跳ね上がる。それでも、金額以上に岩村の決め手となったのは、家族の全面サポートを含む付帯条項の数々。その中には「英会話レッスン」という珍条件も組み込まれた。自ら英語を磨いてチームに溶け込む努力をする覚悟の表れだ。

 地元紙は「太平洋を越えて救世主がやってくる」と報道。今季101敗を喫してア・リーグ東地区最下位に沈んだチームを立て直す男として期待されている。「3割はこだわっていく。本塁打もどんどん打ちたいし、打った後とかも見てもらいたい」

 単に打つだけではなく、一発の後のパフォーマンスでもファンを魅了する。今季は本塁打での生還の際、亡き母・美千代さんの形見の指輪を付けたネックレスに口づけし、天に向かって人さし指を掲げていたが、メジャーでは新ポーズも取り入れ、魅せるプレーヤーになる。

 勝つために海を渡る。チームのためなら定位置の三塁だけではなく「二塁でも中堅でもチャレンジする」。デ軍でも「背番号1」を付け、大暴れする。

◆岩村に聞く「アメリカンドリームをつかみたい」

 ―いまの気持ちは。

 「本当に興奮しているし、うれしく思う」

 ―契約について。

 「非常に高く評価してもらった。額を聞いた時、笑っていられるのも初日だけ、期待に応えるために練習しないといけない、と思った」

 ―セントピーターズバーグの街については。

 「故郷の愛媛・宇和島に似ていると感じ、住むのは大丈夫だと思った」

 ―チームの印象は。

 「若いチーム。日本で外国人選手に教わったように、自分もチーム内から“何くそ魂”を広げていきたい」

 ―アピールするのは。

 「全力プレーとフルスイングを引き続きやっていく。本塁打をどんどん打ちたいし、打った後(のパフォーマンス)も期待してください」

 ―1年目の数字は。

 「打率3割は達成したい。本塁打は松井秀選手、城島選手を追い越せるように努力する」

 ―目標を。

 「夢は大リーグに入ることではない。入ってから大舞台で活躍することがすべて。アメリカンドリームをつかみたい」

 ―背番号はヤクルト時代と同じ「1」ですね。

 「野球選手にとって背番号は名刺みたいなものだし、うれしい。1年目から1番をもらって、プレッシャーもあるけれど、誰から見ても、あの1番は(岩村だ)、と言ってもらえるようにしたい」

 ―デ軍のマドン監督も期待しているようだ。

 「渡米した際にお会いして『この監督のためなら』と思えるような監督だった。野球に対する情熱を強く持っている方。自分と一緒だと思った」

 ―チームについて。

 「球団の歴史も若いし、選手も若い。これからのチームだと思う。その中で、自分より年下の選手ともレギュラー争いしていく中で、日本での経験を伝えていければいいと思う。チーム内から自分の信条でもある『何苦楚(なにくそ)魂』というものも広めていきたいと思う」

 ―数字的な目標は?

 「打率3割はどうしても達成したい数字。本塁打に関しては、松井さん(16本)、城島さん(18本)が打った数を目標に、1本でも近づき、追い越せるように努力していきたい」

 ―ファンに対しては?

 「来年からは日本でプレーしないけれど『あいつを行かせてよかった、夢をかなえさせてよかった』と思われるように自分を表現していきたい」

【2006/12/17 スポーツ報知】
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