横綱・朝青龍(26)=高砂=が引退の危機に立たされた。日本相撲協会は1日、両国国技館で緊急理事会を開き、夏巡業を休場する診断書を出しながらモンゴルでサッカーに興じていた朝青龍に対し、秋と九州の2場所出場停止、九州場所千秋楽の11月25日までの謹慎、4か月間の30%の減俸の処分を下した。2場所出場停止は過去に例がなく、現役横綱の出場停止、減俸も初。事実上の引退勧告とも取れる厳罰で疑惑の横綱が力士生命の窮地に立った。

 仮病疑惑の代償はあまりにも大きかった。午後零時55分からの緊急理事会。30分に及ぶ話し合いで朝青龍に下されたのは厳罰の3点セットだった。

 処分は〈1〉秋と九州の2場所出場停止〈2〉この日から11月25日の九州場所千秋楽まで4か月間にわたり自宅、部屋、病院以外で特別な事情がない限り外出を認めない謹慎〈3〉8月から4か月間の30%の減俸。横綱としてだけでなく力士への処分としても、すべて過去に例がない大厳罰が仮病疑惑の横綱に突きつけられた。

 緊急理事会では、今回の前代未聞の行為に大半の理事から厳しい処分を求める意見が続出したという。加えて理事会の直前に横綱審議委員会の海老沢勝二委員長から北の湖理事長に直接、厳正な処分を求める電話も入った。興行面から見て、大看板の横綱を本場所で失えば協会にとっても大きな痛手になる。それでも内外からの厳しい声を厳粛に受け止め、最終的に理事長が断を下した。「ファンが夏巡業を期待していたのに軽率。ファンあっての大相撲を重視した妥当な罰則」と理事長は説明した。

 渦中の朝青龍はこの日夜、都内の自宅に主治医の平石貴久医師を呼び、負傷している腰と左ひじの診断を受けた。診断後、平石医師は朝青龍が精神的なショックを受けながらも処分を受け入れることを明かし「日本と相撲が好きでここまでやってきた。来年いい相撲を取るように頑張る」と話したと明かした。減俸と出場停止で昨年の8~11月に比べ5000万円以上の減収となるが、ヤケを起こして引退せず、謹慎明けの12月の冬巡業から改心した姿を見せることを約束したという。

 2場所出場停止は引退の危機に立たされたことも意味する。北の湖理事長は「休んだら筋肉を取り戻すのに1、2か月はかかる。よほど努力しなければいけない」。出場停止を休場とするなら、横綱の2場所連続休場は自動的に次の場所は進退がかかる。来年の初場所で不本意な成績を残せば引退勧告される可能性が出てくる。

 さらに過去にモンゴルへの無断帰国を繰り返してきた朝青龍が4か月間も日本の自宅と部屋、病院の往復だけの生活にとどまれるのかという危惧(きぐ)もある。ある理事は「謹慎中にモンゴルへ帰ったらその時はクビになる」と断言。謹慎中には外部からの監視の目が光ることは確実。今回の厳罰が新たなスキャンダルを呼ぶかもしれない。

 ◆現役横綱が起こしたトラブル 前田山は1949年10月、休場中に、来日していた米プロ野球、サンフランシスコ・シールズの試合を観戦。写真が新聞に出て批判が集中、14日目以降は土俵入り、千秋楽には取組を行うと希望したが、引退勧告され、責任をとる形で引退した。双羽黒は87年12月31日、所属していた立浪部屋のおかみへの暴行事件を起こし廃業した。そのほかには酒に酔って暴れ、注意を受けた例などがある。

【2007/8/2 スポーツ報知】
arrow
arrow
    全站熱搜

    ht31sho 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()