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台湾の危機を救ったマイナーリーガーたち

 地元開催の台湾は、主力選手の多くが故障などを理由に出場を辞退。特に、昨年12月の日本戦でダルビッシュから逆転の2点本塁打を放った陳金鋒(La new)の大会直前の負傷離脱は、非常に痛かった。
 しかし、その危機を救ったのは米マイナーリーグでプレーしている20代前半の選手たちだった。中でも、「2番・センター」で全試合に先発出場した林哲シュエン(レッドソックス傘下1A)、今大会の前半4試合で“恐怖の8番打者”として活躍し、後半3試合では5番を任された羅國輝(マリナーズ傘下1A)の貢献度は特筆すべきものがあった。

「台湾のイチロー」の異名を持つ林哲シュエンは打撃こそまだ粗いものの、広い守備範囲と快足でチームの危機を幾度となく救った。羅國輝は初戦のスペイン戦で3点本塁打。予想外に苦しんだドイツ戦では勝利打点となるタイムリー二塁打、カナダ戦では一時逆転となる3点本塁打を放ち、陳金鋒不在の穴を完全に埋めてみせた。
 羅國輝の魅力は188センチ、92キロの恵まれた体格を生かした長打力だけではない。昨年、1Aで32盗塁を記録した快足に加え、林哲シュエンに負けず劣らず堅実な守備も光る。また、ルックスもよく、今後は女性ファンの人気獲得も予想される。来年開催予定のワールドベースボールクラシックでも活躍が見込まれる。数年後、林哲シュエンは松坂や岡島と、羅國輝はイチロー、城島と同じフィールドでプレーしている可能性もあるので、日本のファンは覚えておいて決して損はないだろう。

 投手では、アジア予選で日本を大いに苦しめた陽建福(興農)が目立っていた。3月8日のメキシコ戦は6回途中まで自責点1に抑える好投。12日のオーストラリア戦では、三塁を踏ませない好投で無四球完封勝利を挙げ、台湾の五輪出場に大きく貢献した。

 何より台湾にとって最大の武器となったのは、ビッグネーム離脱の危機感から発生した団結力だった。この団結力は試合を重ねるごとに強固になり、ファンの心をも大きく動かした。この団結力を持ってすれば、北京五輪でも日本にとって脅威の存在となるだろう。

小川聖市/Seiichi Ogawa

台湾の旅行ガイドブックの取材活動がきっかけで、台湾だけでなく「野球」にのめり込み、現在に至る。台湾では、少年野球大会の日本チームの接待係兼通訳を担当したこともあり、取材以外の方法でも「台湾野球」の理解に努めている。野球以外にも高校バスケのHBLなど、バスケットボールの会場にも足を運んで、その面白さを現在ブログで紹介中。

スポーツナビ 2008年03月16日
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