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【12月18日】2002年(平14) 


 打つことより、守備を期待されて来日した外国人選手は珍しい。広島は大リーグ、タンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)からアンディ・シーツ内野手の獲得を発表した。金銭トレードという形での入団で、米国で行われていたウインターリーグの会場でデビルレイズはシーツにトレードを通告した。

 正確なフィルディングが特徴、というスカウティングレポートに広島のフロントが心を動かされた。内野ならどこでも守れるオールラウンドプレーヤーでもあり、最近3年間で102試合に出場し、失策はわずか3。01年は41試合で2割4分8厘だったが、4本塁打22打点と少ない打数の割にはチャンスに強く、ここ一番の一発もあった。

 年俸は60万ドル(約7320万円、当時)で合意。守備固め中心の控え選手だったとはいえ、一応メジャーリーガー。潤沢に資金があるわけではない広島にとっては“お買い得”な選手だった。

 「東出(輝裕)を二塁に回して、ショートのポジションを空けて待っていたんだ。シーツ?もちろん開幕スタメンだよ。悩みが解消した気分だ」。投手陣を含めたディフェンスを固めることで、チームはAクラスを狙える位置にくると踏んでいた山本浩二監督はすこぶる機嫌が良かった。

 02年、広島はリーグどころか、12球団ワーストの89失策を記録。これがことごとく得点に絡み、5年連続のBクラスに沈んだ。特に東出のショートの守備には問題があり、00、01年とリーグ失策王。02年には16に減ったが、安定しないスローイングやグラブさばきはまだ開発途上で、出場自体も減少していた。その弱点を補うべく、半ばコーチ役として獲得したのがシーツだった。

 ところが、実際試合で使ってみると華麗なグラブさばきをみせることもあったが、雑なプレーも目立ち、失策は14個を数えた。最初の触れ込みとは少々違ったが、その代わり日本の投手への対応ができるようになると、守備よりむしろ打撃でチームに貢献するようになった。

 開幕戦となった3月29日のヤクルト1回戦(神宮)では2番に座り、当初は15打席連続無安打も徐々に当たりだし、6月には月間3割6分4厘をマーク。得点圏打率は4割を超えた。守備のシーツに対して、打撃の助っ人として獲得したジミー・ハースト外野手が全く機能せず、主砲の新井貴浩内野手が極度のスランプに陥ると、シーツは7月12日の中日17回戦(広島)からはとうとう4番に名を連ねた。1年目で25本塁打75打点をマーク。打率3割1分3厘はチームトップでリーグ6位という好成績を残した。

 2年目も23本塁打85打点とバットで活躍したが、ウリだったはずの守備は19失策とリーグワースト。それでも2年契約4億円を要求したため、広島と決裂。2年5億円を提示した阪神へ移籍した。遊撃手から一塁へ転向すると、負担軽減から05、06年と本来得意の守備に磨きがかかり、ゴールデングラブ賞を受賞。打撃もチャンスでの強さは相変わらずで、05年のリーグ優勝になくてはならない戦力だった。

 現在は阪神の駐米スカウト。25年遠ざかっているタイガースの日本一に貢献できる選手を発掘すべく、全米を駆け回っている。


【2009/12/18 スポニチ】
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