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【5月20日】1976年(昭51) 

 【巨人4―3ヤクルト】巨人の3番張本勲左翼手の6号同点本塁打の余韻もさめやらぬ中、新緑の季節を迎えたみちのく・盛岡で4番王貞治一塁手が岩手県営野球場の右翼席中段に、逆転となる11号ソロ本塁打をたたき込んだ。この日は王にとって36歳の誕生日。バースデーアーチとなった。

 ヤクルト・井原慎一朗投手の外角シュートを、半ば強引に引っ張った感触はバットの芯を外された気がした。「バットの先だったようだけど、よく飛んだね。張本がすぐ目の前で打ったし、よしって感じだった。気持ちが入っていると、飛ぶもんだね」と王。76年から巨人に加入した張本とのOHアベックホーマーはこれで早くも3度目だったが、連続本塁打は初めて。1カ月後の6月19日に誕生日が来る張本は「ワンちゃんの誕生日だから何かプレゼントをと思ったけど、物なんかよりこれが一番。いいところで打ててよかった」と自分のことのように喜んだ。

 王の一発でリードした巨人は調子の上がらなかった先発堀内恒夫投手から加藤初投手にリレー。1点差を守り抜き、なんと12連勝。貯金は15にもなり、最下位に終わった前年同時期の借金8を大きく上回る好成績に。郡山、仙台、そして盛岡と続いたデーゲームでのみちのくシリーズに全勝した長嶋茂雄監督は「東北土産がどっさりだ」と上機嫌だった。

 誕生日記念の本塁打は現役18年目で実は2本目。前回は62年(昭37)。ヤクルトの前身である国鉄7回戦で、プロ初本塁打を記録した村田元一投手から打った。この時、王はなんと1番打者。後楽園での試合だったが、国鉄主催試合で巨人は先攻。王は初回に一発を放っており、いわゆる先頭打者本塁打という通算868本塁打の中でも珍しい1本だった。

 張本が“祝砲”を打ち上げたように、14年前の誕生日でも長嶋茂雄三塁手が8号ソロで、22歳になった王を祝ったのがなんとも奇遇であった。

 王は引退前年の79年の広島8回戦(後楽園)でもバースデーアーチを放っており、現役22年間で誕生日の本塁打は計3本。いずれも勝利に貢献するホームランとなった。しかし、トータルで見ると15試合で51打数13安打7打点で打率は2割5分6厘と、誕生日は力んだのか、あまりいい数字を残していない。

【2011/5/20 スポニチ】
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