【6月27日】2008年(平20) 

 【西武4―1ロッテ】「あんなホームランはこの球場で記憶にない。いやー、さすがプロです。いいものを見た」足かけ40年のキャリアを持つグラウンドキーバーも、そして集まった2万289人の観客も腰を抜かすほどのホームランが県営大宮球場の夜空を鮮やかに彩った。

 5回、西武のクレイグ・ブラゼル一塁手がロッテ・成瀬善久投手から放った18号2点本塁打は右翼スタンド後方のネットを楽々越えて、サッカーJリーグの大宮が使用する隣接のNACK5スタジアムに着弾。ペナルティーエリアまで転がっていった。

 推定飛距離は140メートル。「なんか2ゴールを決めた気分だよ」。2ラン本塁打を、サッカーにかけて気の利いたジョークを飛ばしたブラゼル。昨年0勝6敗と散々辛酸をなめさせられた、左腕に引導を渡した貴重な一発に西武ベンチは大いに盛り上がった。

 西武が福岡から本拠地を埼玉・所沢に移して30周年。チームはこれを機に、「埼玉西武」と名乗り、より地域に密着した球団として歴史を刻み始めた。その一環が大宮での初の公式戦開催だった。

 高校野球埼玉大会ではおなじみの球場だが、プロ野球とはかなり疎遠になっていた。パ・リーグの公式戦が同球場で行われたのは、1954年(昭29)9月29日の毎日(現ロッテ)―近鉄戦以来のこと。同球場の歴史は古く、こけら落としであのベーブ・ルースを中心とした、全米選抜チームを日本が迎え撃った日米野球が行われたのは、34年(昭9)11月29日だった。23―5と大勝した、米選抜チームだが、ルースも本塁打をかっ飛ばしていた。

 大宮での歴史的な1勝に西武・渡辺久信監督は「54年ぶりに試合ができたということだけで凄いこと。さらに勝てたのでなお良かった。地元で新しいファンを獲得できたと思う」と、6連敗を脱したこともあり上機嫌。2位日本ハムとともにシーズン40勝に達した。

 一方、地元大宮東高出身の平尾博嗣内野手は8回に代打で出場。高校時代、スラッガーとしてならした同球場での活躍を知っているファンは大歓声で“凱旋”を迎えたが、結果は伊藤義弘投手の前に見逃しの三振に終わった。

 「お前、反省しろ、というメールがいっぱい来ていました」と平尾。もう1人の地元出身、浦和学院高OBの石井義人内野手も7回に代打で打席へ。同じ伊藤から左前打を放っただけに、悔しい大宮での夜になった。

 その後も大宮での公式戦が毎年組まれるようになり、西武の主催試合は完全に恒例行事となった。

【2011/6/27 スポニチ】
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