【シアトル鈴木遍理】イチローが乱入ファンを抱きしめた-。当地で28日(日本時間29日)に行われたマリナーズ-アスレチックス戦の8回、中堅の守備に就いていたイチロー外野手(33)のファンと思われる男が乱入した。イチローは逃げずに男性と会話し、抱き留めた。この日は4打数無安打で、あと1本と迫っているメジャー通算1500安打はお預けとなったが、予想外の行動で地元スタンドを盛り上げた。試合は4-3で勝ち、2連勝。



 イチローを危機が襲ったのは、8回表のアスレチックスの攻撃中だった。1死一塁からの投手交代の最中、マリナーズのユニホーム姿の男が右中間フェンスを乗り越え、中堅の守備位置付近で、左翼イバネスと話していた背番号51に向かって歩いてきた。イバネスが先に気付き、振り向いたイチローは冷静沈着。男に「酒を飲んでいるのか?」と話し掛けた。



 「本人はそうじゃないと言っていた。まあ、酔っぱらいは自分でそうじゃないと言うもんですけどね、どうなんだろう。お酒のにおいはしなかったけど」



 続きはまだあった。男があまりにも自然に近寄ったため、警備員は気付くのが遅れた。そこで、イチローが次にとった行動は、危険物のチェック。抱きつかれると、手を男の背中に回して、ポンポンと優しくたたいた。



 「一応、何も持っていないことを確かめてハグ(抱き合う)した。ちょっと怖かったよね」



 大リーグは今年もファンの乱入が相次ぎ、5月にヤンキースの松井秀、6月にはジャイアンツのボンズが標的に。2人とも逃げずに、その場を冷静に切り抜けたが、さすがに乱入者を抱き締めることはしなかった。



 「選手として、どうやったらあそこで盛り上げるか考えないといけないでしょう。それが一番盛り上がるだろうということ」



 一歩間違えば、けがをさせられるかもしれない。そんな状況で、スタンドをシラケさせない“イチローイズム”を優先した。まさかの行動に4万人を超えるスタンドは笑いと拍手に包まれ、狙いは大成功。直後に男は警備員たちに腹ばいに押さえつけられると、後ろ手に手錠を掛けられ、連れ去られた。



 突発的な事態にも慌てず、最後に球場をわかせるテクニックは、打撃そのもの。快音は聞かれず、通算1500安打が持ち越されても、ファンは大満足だった。



【2007/7/30 中日スポーツ】
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