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沖縄の演劇界を戦前からリードし続けてきた女優・平良とみさんが昨年１２月、敗血症による呼吸不全のため、８７歳で亡くなった。お笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリ（４３）は、２００１年のＮＨＫ朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」での共演以来、親交を温めてきた仲。そのパワフルさゆえ、いまだに亡くなった実感がないというゴリが、愛すべき「沖縄のおばぁ」について語った。（樋口智城）＝１６年１月３１日掲載＝
ゴリは、平良さんのことをひと言で「小さな太陽」と表現した。「すごいパワフルで、みんなを常に元気づけて。僕と会ったときは『いつも見てるよ～』って背中をバシバシ叩いてくるんですよ」。１３５センチの小柄な体で沖縄をけん引し続けた名女優には、励まされ続けてきた。
初めて会ったのは、平良さんが一躍全国区となった０１年のＮＨＫ朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」の撮影現場だった。ゴリは平良さんの孫の役。初対面では、いきなり「アンタ、東京ですごいよね。沖縄のために頑張んなさいよ！」と声を掛けられ、パワー全開で自身の活躍を喜ばれた。「その後も会えば必ず『沖縄のために』って言うんですよ。常に沖縄のことを考えていたんでしょうね」と話す。
「ちゅらさん」の撮影現場で、平良さんは段ボール箱いっぱいのサーターアンダギーを差し入れたことがあった。沖縄の自宅で作り、東京のＮＨＫのスタジオまで持参。戦前から沖縄の演劇一筋の平良さんにとっては、沖縄の味をどうしても東京の人たちに味わってもらいたかったのだろう。
パワフルなだけでなく、かわいらしさも持ち合わせていた。０９年、ゴリが初監督した映画「南の島のフリムン」で、平良さんは空手の達人役で出演。劇中、ゴリの股間を握り潰すシーンがあったのだが、撮影に入っても全くつかもうとしなかった。不思議に思って訳を聞くと、顔を赤らめながら「私が握ることによって、アナタが“反応”するのが怖いのよ」という返事が…。当時、平良さんは御年８１だった。
「その乙女ぶりに笑っちゃって。いつまでたっても純粋すぎるおばあちゃんなんだなあと思いましたよ」とゴリ。その後もこの話題を振ると、決まって「何であんなこと言っちゃったのかしら～」と照れ笑いを返された。「本当にチャーミング。周囲の人がみんな好きになるのが、分かりますよね」
１３年にゴリは那覇市内で行われた平良さんの舞台「首里子ユンタ」を見に行った。「当時８４～８５歳ぐらいだったと思うんですが、本当に１時間から２時間、セリフが完璧なんですよ」。そのときは、少なくとも１００歳は生きるとばかり思っていた。最後に会ったのは１４年の年末、日テレ系「秘密のケンミンＳＨＯＷ」のロケ。「いつも通りバンバン叩いて励ましてくるんで、全くパワー衰えないなあと思っていました」
だが、その知らせは突然に訪れた。昨年１２月６日。沖縄で仕事をしている最中に、平良さんが亡くなったことを知った。「訃報をメールで見た瞬間、突然すぎて呼吸も止まって血の気が引いた」。喪服を用意する時間すらなく、ロケ終わりに私服で駆けつけた。安らかに眠る平良さんと対面したが、不思議と死の実感は全くなかった。「泣きもせずボーッとして。現実逃避しているのか何なのか…」。生まれて初めての感覚だった。
「今しゃべってても、全く悲しい気持ちにならないんですよ。すぐ近くにいて『沖縄のために頑張りなさいよ』って声を掛けてくるような気がするから…」。それほど大きかった平良さんの存在感。自身の脳裏には、パワフルでかわいい「おばぁ」が生き続けている。
◆ゴリ １９７２年５月２２日、沖縄県那覇市生まれ。４３歳。９５年、中学時代の同級生の川田広樹と「ガレッジセール」結成。ボケ担当。９７年に日テレ系「ロンブー荘青春記」にレギュラー出演しブレイク。２００１年のフジ系「ワンナイＲ＆Ｒ」のキャラ「ゴリエ」でＣＤデビューを果たし、人気を博した。近年は個性派俳優として、映画やドラマにも多数出演している。血液型Ａ。
◆国仲涼子「おばぁ…寂しいです」
「ちゅらさん」でヒロイン・恵里を演じた国仲涼子（３６）にとっても、平良さんは芸能界の「おばぁ」だった。パート４まで作られた「ちゅらさん」での６年間にわたる共演で、古波蔵家のメンバーは実在の家族のようだった。「撮影の時も、普段の会話の時も、おばぁおばぁとみんなから慕われ小さい体からあふれるパワーは、みんなに元気を与えてくれました」と振り返る。「毎日顔を合わせると『体調大丈夫？』とずっと私の体を気遣ってくれて、本当に自分のおばあちゃんのようでした」と懐かしんだ。
０６年、パート４の制作発表では「『ちゅらさん』は私の元気の源。長生きしたい」と笑顔を浮かべていた平良さん。国仲は「楽しい思い出は数え切れません。感謝の気持ちでいっぱいです。おばぁ…寂しいです。本当に本当に、ありがとうございました」と天国に思いをはせた。
[2016年12月30日 スポーツ報知]
ゴリは、平良さんのことをひと言で「小さな太陽」と表現した。「すごいパワフルで、みんなを常に元気づけて。僕と会ったときは『いつも見てるよ～』って背中をバシバシ叩いてくるんですよ」。１３５センチの小柄な体で沖縄をけん引し続けた名女優には、励まされ続けてきた。
初めて会ったのは、平良さんが一躍全国区となった０１年のＮＨＫ朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」の撮影現場だった。ゴリは平良さんの孫の役。初対面では、いきなり「アンタ、東京ですごいよね。沖縄のために頑張んなさいよ！」と声を掛けられ、パワー全開で自身の活躍を喜ばれた。「その後も会えば必ず『沖縄のために』って言うんですよ。常に沖縄のことを考えていたんでしょうね」と話す。
「ちゅらさん」の撮影現場で、平良さんは段ボール箱いっぱいのサーターアンダギーを差し入れたことがあった。沖縄の自宅で作り、東京のＮＨＫのスタジオまで持参。戦前から沖縄の演劇一筋の平良さんにとっては、沖縄の味をどうしても東京の人たちに味わってもらいたかったのだろう。
パワフルなだけでなく、かわいらしさも持ち合わせていた。０９年、ゴリが初監督した映画「南の島のフリムン」で、平良さんは空手の達人役で出演。劇中、ゴリの股間を握り潰すシーンがあったのだが、撮影に入っても全くつかもうとしなかった。不思議に思って訳を聞くと、顔を赤らめながら「私が握ることによって、アナタが“反応”するのが怖いのよ」という返事が…。当時、平良さんは御年８１だった。
「その乙女ぶりに笑っちゃって。いつまでたっても純粋すぎるおばあちゃんなんだなあと思いましたよ」とゴリ。その後もこの話題を振ると、決まって「何であんなこと言っちゃったのかしら～」と照れ笑いを返された。「本当にチャーミング。周囲の人がみんな好きになるのが、分かりますよね」
１３年にゴリは那覇市内で行われた平良さんの舞台「首里子ユンタ」を見に行った。「当時８４～８５歳ぐらいだったと思うんですが、本当に１時間から２時間、セリフが完璧なんですよ」。そのときは、少なくとも１００歳は生きるとばかり思っていた。最後に会ったのは１４年の年末、日テレ系「秘密のケンミンＳＨＯＷ」のロケ。「いつも通りバンバン叩いて励ましてくるんで、全くパワー衰えないなあと思っていました」
だが、その知らせは突然に訪れた。昨年１２月６日。沖縄で仕事をしている最中に、平良さんが亡くなったことを知った。「訃報をメールで見た瞬間、突然すぎて呼吸も止まって血の気が引いた」。喪服を用意する時間すらなく、ロケ終わりに私服で駆けつけた。安らかに眠る平良さんと対面したが、不思議と死の実感は全くなかった。「泣きもせずボーッとして。現実逃避しているのか何なのか…」。生まれて初めての感覚だった。
「今しゃべってても、全く悲しい気持ちにならないんですよ。すぐ近くにいて『沖縄のために頑張りなさいよ』って声を掛けてくるような気がするから…」。それほど大きかった平良さんの存在感。自身の脳裏には、パワフルでかわいい「おばぁ」が生き続けている。
◆ゴリ １９７２年５月２２日、沖縄県那覇市生まれ。４３歳。９５年、中学時代の同級生の川田広樹と「ガレッジセール」結成。ボケ担当。９７年に日テレ系「ロンブー荘青春記」にレギュラー出演しブレイク。２００１年のフジ系「ワンナイＲ＆Ｒ」のキャラ「ゴリエ」でＣＤデビューを果たし、人気を博した。近年は個性派俳優として、映画やドラマにも多数出演している。血液型Ａ。
◆国仲涼子「おばぁ…寂しいです」
「ちゅらさん」でヒロイン・恵里を演じた国仲涼子（３６）にとっても、平良さんは芸能界の「おばぁ」だった。パート４まで作られた「ちゅらさん」での６年間にわたる共演で、古波蔵家のメンバーは実在の家族のようだった。「撮影の時も、普段の会話の時も、おばぁおばぁとみんなから慕われ小さい体からあふれるパワーは、みんなに元気を与えてくれました」と振り返る。「毎日顔を合わせると『体調大丈夫？』とずっと私の体を気遣ってくれて、本当に自分のおばあちゃんのようでした」と懐かしんだ。
０６年、パート４の制作発表では「『ちゅらさん』は私の元気の源。長生きしたい」と笑顔を浮かべていた平良さん。国仲は「楽しい思い出は数え切れません。感謝の気持ちでいっぱいです。おばぁ…寂しいです。本当に本当に、ありがとうございました」と天国に思いをはせた。
[2016年12月30日 スポーツ報知]
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