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 ◇つなぎ徹底でカバー

 阪神は苦手だった交流戦を15勝9敗で終え、優勝したソフトバンクと並ぶ最高勝率チームとなった。2位・中日との差は6・5ゲームに広がり、早くも独走態勢を築きつつある。主力投手の相次ぐ故障などの誤算があったにもかかわらず、プロ野球タイ記録を作った開幕7カード連続勝ち越しの勢いは衰えていない。快進撃を続けるチームの強さを、象徴的な「キーワード」とデータを中心に探ってみた。

 17日の甲子園。古巣への勝利に執念を燃やす楽天・野村監督が2-1とリードした七回以降、4投手を投入し、必死の防戦にかかったが、阪神は桧山、高橋光ら5人の代打、代走攻勢で逆転。野村監督は「今の阪神にはすきがないよ」と苦笑いするしかなかった。

 つなぐ意識が徹底していることを証明する波状攻撃だった。その象徴は、「新・代打の神様」桧山。試合前の打撃練習では、大胆に投手寄りに立つなど、意識的に普段の間合いをずらしている。「代打だと(投手との)タイミングが合わないこともあるから」と桧山。かつての4番は、臨機応変かつ確率の高い打撃に全神経を注ぎ、今季の代打では27打数12安打、打率4割4分4厘と信じられない数字を並べている。

 つなぎの意識は本塁打にも表れている。チーム総数はリーグ最少タイの35本。12球団トップの西武(96本)の4割に満たない。本塁打とともに、総得点も最下位だった昨年とは内容が異なる。

 効率の高い得点力は、出塁と勝負強い打撃の連鎖反応が生み出した。リーグの出塁率上位3人を金本、赤星、新井と阪神勢が占め、赤星の39四球はトップ。最も出したくない走者として警戒される中、赤星は「出塁で重圧をかけて(相手バッテリーを)焦らせることができる」と粘り強く四球を選んでいる。

 塁に出れば、中軸が厚い信頼に応える。現時点でリーグ最多打点(58点)の金本に加え、昨オフ広島からFA移籍した新井が3割3分1厘、48打点(ともにリーグ4位)と好打率で役割を果たしている。05年の本塁打王は「金本さんに回すことだけを考えている」と、新天地ではつなぎ役に徹している。金本、新井とも3割4分を超える得点圏打率で好機に強く、チーム総得点の3分の1以上を3、4番が稼いでいる。

 本塁打がリーグ最少の球団が優勝したのは、セでは1960年の大洋(現横浜)、2004年の中日。現在の阪神も理想的な好循環が続く限り、一発に頼る必要はない。

毎日新聞 2008年6月24日 大阪朝刊
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