close
 ヤンキースでもローテーションを守り抜く。ポスティングシステム(入札制度)でヤンキースが約30億円で独占交渉権を獲得した、阪神井川慶投手(27)の「独占手記」第2弾。先発投手としてのプライドは、海を渡っても持ち続け、ニューヨークで活躍する意気込みを熱く語った。

 世界一の一員になりたいという目標はありますが、まだタイトルのこととか、エースになるとか、そんなことは考えられません。いや考えるべきでもないと思います。とにかくローテーション投手として投げることができるか。そのポジションを勝ち取らないことには何も始まらないのです。

 自分では日本での実績は通用しない、ゼロからのスタートに近いと思っています。ヤンキースの首脳陣の方も、自分のナマの姿を見ることはなかっただろうし、それどころか自分の名前も知らない可能性すらあるでしょう。競争が厳しいことは十分、分かっているつもりです。特にヤンキースの投手陣は層が厚いでしょうから、そういう中でアピールして、スターターにならなければいけない。

 例年より早い仕上がりも意識しないといけないかもしれません。日本の時のようにオープン戦で打たれてもいい、というわけではないと思うんで、しっかり抑えてアピールする必要があると考えてます。

 背番号へのこだわりについて、よく聞かれますが、本当にありません。ヤンキースの29番が空いているとの話も聞きましたが、正直、ボクは何番でもいいです。別に番号で野球をやるわけじゃないでしょ(笑)。とにかく、それどころじゃない。何度もいいますが、重要なのはスターターとしてローテーションを勝ち取り、それを守ることです。

 もちろん、日本でのスタイルそのままで、成功できるとは思っていません。1年目から対応することが大事です。足りない部分、修正しなければいけない部分が、これからたくさん出てくると思います。日米のボールの違いもその1つ。自宅でメジャー球を握ることもありましたが、シーズン中は日本のボールに集中してきたわけで。まだまだ完全ではありません。

 ストライクゾーンもそうです。一般的に判定は右打者の内角に厳しく、外側に甘いとの声もあります。ただ、それも実際にプレーしたことがない人が話しているわけでしょうから、実際にやってみて経験したいと思います。実際にプレーした人に聞いてみるのも手だと考えてます。

 中4日の調整についても同じです。いろんな人の話を聞いて、いろいろ考えて、オープン戦から試すことになると思います。遠征移動も同じ。とにかくやるべきことはたくさんあります。

 11月、ボクとしては3度目の日米野球に参加させてもらいました。やはり初めて対戦したバッターが多かった。初めてのボールでは、打者もなかなか打てない部分がありますし、日米野球の結果だけで、通用するとか、しない、とか推し量ることは間違っていると思います。

 ただ手ごたえはゼロではありませんでした。ストレートで空振りはともかくファウルが取れました。ファウルでカウントを稼いであとはチェンジアップとの緩急。これが自分のスタイルです。緩急で空振りをとる、というボクのスタイルが出せれば、日本でも、世界でも通用すると思います。

 やはり自分の力が1番発揮できるのは、スターターだと思っています。これまでスターターとして「ゲームを作る」ということに重点を置いてきました。

 自分が頑張れば勝てる可能性はありますけど、100%勝つことはできない。野球で勝つにはどうしても打つしかない。0-0のままでは一生勝てません。自分はできる限り頑張って、勝つチャンスを広げることに専念しよう、それがボクにできる仕事だ。阪神にいた時から、野球を深く考えた上で出た答えです。

 この考えはメジャーに行っても同じです。向こうでは6回100球ぐらいが降板のメドになるのでしょうか。その中でいかに2点、3点に抑えるか。野球はイッキに4点が入る可能性があるわけですから。たとえリードを許しても逆転のチャンスをいかに残すかが重要です。もちろん、2点より1点の方がいいに決まってる。日本でやってきたのと同じように、とにかく最少失点で抑えることを心がけたいと思います。

 野球でも何でも「極める」という言葉が好きです。幼少時代から野球してもなかなか家に帰りたがらない、そんなしつこいところはあったと思います。(水戸商での)高校時代も特に何をやれ、ということなく自分たちでメニューを決めさせてもらって。やはり自分で考えてやる、そうした意識付けは大事だと思います。

 もう一つ大事にしているのは「続ける」こと。1年間通してのプレーもそうですが、野球選手として少しでも長く活躍し続けることです。それこそが、ボクが考える、本当の意味で野球を「極める」ことになると思います。

 10年後の自分なんて想像できません。1年、1年が勝負、特に来年が勝負です。その感覚は阪神でプレーしていた時から同じなんですが、とにかく来年に何とか結果を出さないと、という思いで今います。

 ヤンキースに行くことになれば、やはり注目度も違うでしょうし、その分、やりがいも感じています。メジャーに行く前から、日本に帰るような考えは、当然ながらもっていません。もちろん骨を埋める気持ちで、世界最高峰のリーグで世界一になる、という自分の目標をやり遂げるつもりです。

【2006/12/1 大阪Nikkansports】
arrow
arrow
    全站熱搜

    ht31sho 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()