グッバイ、ジャパン-。WBC日本代表のマリナーズ・イチロー外野手(35)は9日の韓国戦をもって東京での1次ラウンドの全日程を終え、「僕にとって日本での最後のゲーム」と明言した。4年後に想定されている第3回WBC出場も、現役選手としての日本球界復帰も否定した形。その心境とは…。



 イチローは9日の韓国戦の敗戦後、「負けという事実が腹立ちます。僕にとって日本での最後のゲームでしたし、自分にも腹が立ってます」とのセリフを何度か繰り返した。次回の第3回大会が想定されている2013年には40歳になる。そのこだわりよう、口調から、「日本で最後」は今年に限った話ではなさそうだ。



 となると、日米野球のような花相撲はともかく、日本での真剣勝負はこれが見納め。イチローが過去に入団に色気を見せたことのある巨人、出身地・愛知を本拠地とする中日の関係者には「野球人生の最後はウチで」と秋波を送る向きもあるが、現時点でその気はないということになる。



 最後の韓国戦に敗れ、自身も1次ラウンド3試合通算で14打数4安打(打率.286)では、ラスト・パフォーマンスとして物足りない。



 「最後」の意識が強かったせいか、イチローは宮崎合宿の段階から「ザ・パフォーマンス」を銘打ち、曲芸的な背面キャッチを連発して見せるなど、そこまでやるかの大ファンサービス。そのかいあって、1次ラウンド3試合の観客動員は計13万1947人(1試合平均約4万3982人)に上り、06年の前回大会の8万7269人(平均約2万9090人)に比べ4万5000人近くも増えた。



 イチローは「前回とはホントここまで変わるかという変わりようですよね。観ている人たちにこの大会を育てようという気があるのかどうかはわからないけど、日本においては育ちつつある形になっている。だからこそ、聞く人たち(マスコミ)にしっかりと聞いてほしいと思います」と指摘した後、報道陣を見回し、「今の意味がわかったかどうか、わかんないですけど」と皮肉っぽく笑った。WBCがサッカーW杯のような世界大会として定着するか、早晩ポシャるか、報道するマスコミ次第の面もある-という意味か。



 第1回大会で世界一の原動力となり、今大会でも伝説をつくろうとしている。何かと対照的なヤンキース・松井秀喜外野手が結果的に出場しなかった大会でもある。WBCがどんな形で存続するか、あるいはしないかは、イチローの“歴史的価値”に影響を与える。さぞや後ろ髪を引かれる思いだろう





【2009/3/10 ZAKZAK】
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