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韓国戦「なぜ中島にバント」

 とんでもないところで“原批判”が炸裂した。野球好きで知られるキューバの前国家元首、フィデル・カストロ前国家評議会議長(82)が、10日付の政府系ウェブサイトのコラムで、WBC日本代表・原辰徳監督(50)の采配をボロクソにぶった斬ったのだ。日本時間16日から始まるWBC2次ラウンドの初戦で対戦することが濃厚な日本Vsキューバ。2006年第1回WBC決勝の再戦へ向け、早くも国を挙げての、熱い戦いが始まった。

 9日のWBC1次ラウンド1、2位決定戦(韓国1-0日本)をテレビで観戦したというカストロ前議長。思わず首をかしげた(ほくそ笑んだ?)のが、日本が1点を追う8回1死一塁(一塁走者・イチロー)で打者の西武・中島が送りバントを決めた場面だった。

 「日本の監督は、疑いなくいい選手である2番打者(中島)にバントを命じた。アウトは2つになってしまった。わが国の野球をよく知っているファンなら、それが間違いだったと考えるだろう」

 すでに日本国内でも、敗因としてヤリ玉となっている原監督の消極的な采配に、政府系のウェブコラムで堂々と批判したのだ。

【キューバV「今回こそ」で舌鋒鋭く】

 ご存じの通り、キューバでは野球は国技。カストロ前議長自身も大の野球好きで知られる。米国の文献には、カストロ氏が革命前、ニューヨーク・ヤンキース、ワシントン・セネターズの入団テストを受けたとある。事実かどうかは疑わしいが、それでも優秀な選手であったことは間違いないようだ。

 日本が勝った2006年のWBCの決勝戦。日本戦前、カストロ氏はキューバ選手団に「試合に“勝て”とは言っていない。“ベストを尽くせ”と言っている」という名言を残した。しかし、試合は日本が10-6で勝利。昨年の北京五輪でもキューバは韓国に決勝で敗れており、カストロ氏も、“今回のWBCこそは”という思いは強いはずだ。それが、強烈な原批判として、日本への宣戦布告とつながった。

 ちなみに、カストロ前議長の舌鋒は自国の選手へも向けられている。このコラムでは、1次ラウンドでキューバが南アフリカに8-1で大勝した試合に触れ、「エクトル・オリベラとエドワルド・パレはけん制で刺されたし、ミヒェル・エンリケスはヒットを打ったのに暴走して二塁でアウトになった」と名指しで選手批判。「こんなミスさえなければ7回コールドで試合は終わっていたはず」とぜいたくな不満を表明している。名指しされた選手は生きた心地がしないのではないか…。

 原監督は、カストロ議長と同じ1926年生まれでもある身内の巨人・渡辺恒雄球団会長から「(WBCでは)必ずメダルを取れるとは限らん。原君にとっては重荷だとは思う」などと辛口で批評されることも多い。楽天・野村監督からも批判の矢は飛んで来るが、今回ばかりは相手がケタ違いの大物。きっと背筋が寒くなったに違いない?!

 ■公平で建設的な批判

 私は国営テレビを通じて、WBC中継を詳細に見ている。

 月曜の朝にはキューバの2大ライバル、日本と韓国による試合が行われたが、韓国が1-0でリードしたまま、日本の攻撃が残り2回となった。

 危険で(日本の)象徴的なイチローは、3度凡退していたが、単打でつないだ。日本の(原辰徳)監督は、疑いなくいい選手である2番打者(中島裕之)にバントを命じた。そしてアウトは2つになってしまった。

 私は確信している。我が国の(野球を)よく知っているファンなら、ちょっとした分析を加えれば、それが間違いだったと考えるだろう。

 日本の選手は素晴らしい。卓越した技術を持つこのチームを倒して、我が国がWBCで優勝することを私は望む。ただ、8日の日曜に見たキューバ-南アフリカ戦のように不注意に振る舞うのなら、望み通りにはならないかもしれない。(後略)

 フィデル・カストロ・ルス

 ■フィデル・カストロ・ルス 1926年8月13日生まれ、82歳。革命家、軍人、弁護士であるとともに、元アマチュア野球選手。元日本野球連盟会長の山本英一郎氏と親しく、1995年12月に「国家評議会議長」の肩書で初来日。2003年3月に2度目の来日を果たした。健康を損ない、08年2月、ハバナの人民権力全国会議で議長を退任した。


【2009/3/12 ZAKZAK】
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