【シアトル30日=丹羽政善】4年契約の最終年として開幕を迎え、オールスターMVPを獲得したほか、シーズンの終盤まで首位打者争いやプレーオフ争いに絡んだシアトル・マリナーズのイチロー外野手。激動のメジャー7年目を終え、シーズンを振り返った。

──なりふり構わずやりたいと言ってスタートしたが、どんなシーズンだったか?
「やりきった」

──それは過去6年になかったことか?
「それなりにはやりきっているよ、それは。でも、自分への負荷をかけていったし、それを避けてきたシーズンとではやっぱり違う」

──やりきったという言葉は、何かをやり終えたという感覚か?
「まあ、ちょっとスタートしたかなって感じにはなったかな。そういう感じ。ようやくスタートかなって感じはするね」

──チームもマイナスから戻ってきて、いい感じに?
「まあ、いいというか、いい状態なんて僕は期待しないですから。普通の状態を期待してるだけ、そういうこと」

──器というものがあるとしたら、その広がりを実感できたシーズンだったか?
「だからマイナスのところが、ゼロになっただけですよ」

──あくまでも自分が可能性を感じてる中での広がりか?
「そう、今まで狭めてただけでしたから、別に広がってはない」

──これまで精神が肉体に及ぼす影響を実感していた。今年、それを技の部分で補った実感は?
「これまでとは違うということ。補えたかどうかは分からないですよ。ただ、これまでとは違う。その解釈はセンスです」

──チームに対する充実感は昨年までと比べてどうだったか?
「エンゼルスに1ゲーム差まで近づいたけど、まあ、あれは出来過ぎだよね、あの時点では。いいチームだったとは思いますよ。でも、普通じゃなかったよね。いい方向に向きすぎていたと思いますね。ズルズルとそのあと行きましたから。特にピッチャーは、それまでかなり出来過ぎですよね。まあ(補強の)ポイントってやっぱり決まってると思うんですよね。まあ、去年からそうなんだけど。それをまた感じてしまいました」

──後半のヤンキースとのワイルドカード争い。あの時点での感じ方は?
「(チームが)あきらめるのが早かったですね。それが何でかは分からないけど。デトロイトから帰ってアスレチックスとやったゲームで、お客さん少なかったんだけど、それで(個々の選手が)モチベーションを落とすのは、僕は間違ってると思う。自分らで上げていかなきゃいけない。そこはやっぱりファン頼みではまずいですよね。そりゃもっと入ってほしかったけど。でも、その前の遠征を見れば、ファンとしては残念だったと思うんですよね。その気持ちも分かるし。選手は自分たちでやる気を出していかないといけないですよね。それがなんか、なんとなくズルズルいった要因だと僕は感じてました。で、全体的にあきらめた雰囲気が出るよね。盛り上がってないんだからさ」

──そういう雰囲気を感じたとき、シーズン前半ならばフリーエージェントのことを決めてない状態で、ちょっとチームを突き放して見る感覚があったかもしれないが、契約してからはこのチームでやっていかなきゃいけない。そこであきらめるチームメートを見て何を感じた?
「チームメートが、あきらめてるって感じじゃないんですよ。全体がなんですよ。それぞれがあきらめてるわけじゃないと思います。全体があきらめた感じになってるですよね」

──それはどこが?
「分からないです」

【シアトル30日=丹羽政善】4年契約の最終年として開幕を迎え、オールスターMVPを獲得したほか、シーズンの終盤まで首位打者争いやプレーオフ争いに絡んだシアトル・マリナーズのイチロー外野手。激動のメジャー7年目を終え、シーズンを振り返った。

(前編からの続き) ――シーズン88勝という記録が残った。そういう雰囲気を変えていく芽みたいなものは感じたか?

「うん、(新監督のジョン・)マクラーレンはやっぱり大きいですよね。まあ、それは監督としてだけではなくて、(開幕前に)ベンチコーチとしてマクラーレンが入ったことっていうのは、このチームにとって最大の補強だったでしょうね。どの選手よりも、どのコーチよりも。空気を読み取る能力とか、臭いを感じ取る。いろんな感覚があるんですけど、研ぎ澄まされている感じがするよね。まあ、行き過ぎなこともたまにありますけど。でも、それを持ってるから、やっぱり(来季は)春の段階からマックが監督でやることが、すごく楽しみではありますよね」

――勝負時に若い選手がマイナーから上がってくると、チームにエネルギーを与える可能性と、集中力が散漫になるリスクがある。今年はどうだった?

「マイナスだったと思います。(上がってきた選手の)量が多すぎたね」

――それによってちょっと空気が変わった感じ?

「僕はそう感じました」

――初めてセンターでフルシーズン、プレーした。どう評価するか?

「両サイドが――まあ、ラウル(・イバネス左翼手)は別として――(右翼のホセ・)ギーエンは予想よりもやりやすかったですね。それが大きかったと思います。それが僕のストレスを大分除きました。そこはすごく不安でしたから。あれだけ動いてくれないのは、すごく楽です。ただ、たまに動くんでね。それはやっかいでしたけど。エラーはゼロでいきたかったね」

――自分のパフォーマンスについては予定通りか?

「まあ予定通り、予定が何かっていうのがわかんないんでね。でも、やっぱ早い段階から、練習でかなり、僕はここまで行くよってことを見せておいたので。まあ、調教はうまくいったかなって感じはしますよね(笑)」

――エラーゼロは狙っていたか?

「狙ってましたよ。もちろん消極的に動いてってことじゃないですけどね。まあ、あの手のエラー(落球)は、許せないんでね。送球がランナーに当たっちゃったとか、そういうのはしかたない。でも、あのエラー「1」はやっぱり嫌ですね。許せない」

――今日は日々背負うものから開放された1日だった?

「開放されてましたよ。ただ、プレー中はもちろん集中してますけどね。プレー中に手を抜くとか、そんなことではないです。それは変わりないですけど、それ以外のところで力が抜けてるって、そんな感じかな」

――フリーエージェント(FA)を控えていた今年だが、早い段階で残留を決定。その意義は?

「タイプによると思うんですよね、選手の。FAというものをシーズン最後まで残しておいて、終わってからすべて行うということで頑張れる選手っていると思うんです。僕はやっぱり、そのことを気に掛けながらプレーすることってかなりつらいことだったんで。早い段階で決まってくれたっていうのは、すごく大きかったです。契約してしまうとだめになる選手っていると思うんですが、まあ、僕は全くそういう不安はないし。大事なことですけれど、順番はつけられないです。僕の場合は早く決めたかった。で、実際そうしてくれて、すごくやりやすかったと思います」

――首位打者の可能性があった。1度は抜いて最後に遠のいた。今、どのような感情が?

「今はもう。昨日で終わってるんで、もう完敗。完敗でした、そういう気持ちでした。まさか、僕が逆転した時点で、これだけの差をつけられるのは、全く想像してなかったですね。自分が負けることも想像してなかったし。恐らく3割5分3厘だったかな、僕が抜いたときの相手(マグリオ・オルドネス)が。そこから打率を上げてくることは、僕は無理だと思いましたからね、よくてキープすることではないかと僕の中では想像していたので、それを上回ったわけですから。あそから一分近く上げてきたわけですから、そこはすごいことだと思いますよ。僕は3割5分4厘からまあ、最後は3割5分1厘なのかな、3厘下げたわけですけど、その期間も決して悪いペースじゃないですから。ちょっと考えられないですね。3割3分3厘から打率を上げられる選手というのは限られた人しかいないので、しかも首位打者を取ったことのない選手が、あそこから一分近く上げてくるなんてことは、僕にはちょっと想像できないです。素晴らしいと思いますね」

2007年10月1日 MAJOR.JP
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