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【6月22日】2005年(平17) 

 【横浜8―0巨人】力のない飛球を横浜・内川聖一左翼手がファウルエリアでつかむと、マウンド上の背番号30は、この日一番派手なガッツポーズで左の拳を突き上げた。

 投球数117、8安打を浴びながらも三塁を踏ませなかった土肥義弘投手は得意の巨人戦で完封勝ち。シーズン5勝目をマークした。西武時代は中継ぎ専門。先発を直訴したが受け入れられず、半ば反骨心を抱いたままシーズン中の移籍で前年の04年に横浜へ。慢性的な左腕の先発不足状態のチームにあって、土肥の希望は逆に願ったりかなったり。そして移籍して1年が経とうとする中で、プロ初完封勝利を挙げた。8年目、242試合目の登板でたどり着いたシャットアウトだった。

 「まさか最後まで行けると思わなかった。本当に気持ちがいい」。汗が滴り落ちる顔からは充実感がみなぎった。横浜にとっても左腕投手によるジャイアンツ戦完封は、94年9月23日の加藤将斗投手以来なんと11年ぶり。土肥にとって巨人戦は前年からこれで6連勝となった。

 「巨人打線は全員一発の可能性があるので、投げていてゆとりがない。連勝の秘けつ?分かれば苦労しないです」と“企業秘密”は決して口にしなかった。

 代わりに投手出身の横浜・牛島和彦監督が土肥の投球を分析した。「球持ちがいい。だから打者は球の出所が見にくいし、変化球は手元にきて曲がる。右打者は内角を突かれて差し込まれ、左打者は外へ逃げていくように見えるスライダーで芯を外される打球ばかりになる」。

 2、3回の併殺打もスライダーをうまく打たせて仕留めたものなら、8回2死一、二塁のピンチで3番タフィー・ローズ中堅手から空振り三振を奪ったのも、投げるまでの「間」、球持ちがいいために起きるタイミングの狂いから導き出されたものだった。

 巨人キラー・土肥の連勝記録はさらに伸び、7月15日の10回戦、8月11日の15回戦といずれも東京ドームで白星を飾り、8連勝に。2年越しとはいえ、対巨人8連勝は、あの“江川騒動”で阪神に移籍した小林繁投手が記録した連勝数に並ぶ、26年ぶりの2位タイ記録に。8月24日の17回戦(横浜)で敗れ、広島・山内泰幸投手の持つ10連勝には及ばなかったが、左腕投手としては最大の連勝記録となった。

 横浜での5年間で土肥の成績は25勝35敗。うち巨人相手に13勝4敗と、圧倒的なキラーぶりを見せたが、完封劇は他の対戦カードも含めて、後にも先にもこの試合のみだった。

 09年、古巣西武に復帰、10年に海外FA権を行使してメジャー挑戦。11年に米独立リーグのチームと契約し、健在ぶりをアピールした。

【2011/6/22 スポニチ】
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