【11月9日】2000年(平12) 



 7年連続パ・リーグ首位打者のオリックス・イチローに対し、米大リーグ、シアトル・マリナーズがポスティング・システム(入札制度)で1312万5000ドル(約14億円、当時)の最高額を提示、交渉権落札に成功した。



 入札にはメッツ、タイガース、インディアンス、レッドソックス、ドジャースなどが参加。日本での実績は認めるが、果たしてメジャーリーグでどれだけやれるのか、入札には参加したものの、各球団は手探りで金額を決めていた。その中で、筆頭株主が任天堂のマリナーズの評価は格段に高かった。「我々の額はちっぽけで口が裂けても言えない」(メッツ・フィリップスGM)と他球団は完敗だったようだ。



 西武からレッドソックス入りした松坂大輔投手の落札額が約60億円。イチローの活躍ぶりからすれば、かなり安く感じられるが、7年前の日本人野手の評価はせいぜいこの程度のもの。当時、マリナーズはFA権を取得した、主砲のアレックス・ロドリゲス内野手を引き止めるとめに大金を必要としていた。日本人野手1号選手に、交渉権だけでこの額を出すのは破格だった。



 00年のシーズン前、マリナーズのキャンプにも参加していたイチローは「希望の球団なので嬉しい」と感想を述べたが、契約をめぐっての交渉はすんなりとはいかなかった。ランディー・ジョンソン投手が在籍時に付けていた、イチローの代名詞でもある背番号51をプレゼントされたが、契約は3年で年俸は500万ドル(約5億4000万円)。これはオリックスの最終年とほぼ同額だった。



 入札で14億円を遣ったマリナーズにしてみれば、これがMAX。年俸8億円を狙っていたイチローサイドだが、日本で1278安打を放っていても、確かに米国ではまだ1本もヒット打っているわけではなく、強くは出られなかった。結局、インセンティブ(出来高払い)のオプションを付けて合意。11月30日にシアトルで正式契約した。



 契約後、イチローが足を運んだのが、米プロバスケットチーム、シアトル・スーパーソニックスの本拠地キー・アリーナ。試合前のセレモニーで「シアトルの新しいスポーツ仲間を紹介します。マリナーズのイチロー・スズキ!」と場内アナウンスされ、始球式に参加。「絶叫の館」と呼ばれるアリーナで、1万7000人の観衆から、早くも声援を浴びた。



 あれから7年。イチローのメジャーでの実績は、今更語るまでもない。メジャーでの通算安打も1592本に達した。日米通算はこれで2870安打となった。プロ野球界で通算安打記録1位は東映、巨人、ロッテに在籍した張本勲外野手の3085安打。あと215本で追いつく。7年連続200安打以上を放っているイチローにとっては、08年のシーズンのちょうど良い目標だ。



 メジャー記録はシンシナティ・レッズなどで活躍したピート・ローズ内野手の4256本。あと1386本だ。200本ずつ打てば7年で達成可能な記録。その時イチローはまだ41歳。今から楽しみだ。



【2008/11/9 スポニチ】
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