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阪神は27日、真弓明信氏(55=日刊スポーツ評論家)の新監督就任を発表した。新監督は大阪市内のホテルで会見したが、それに先立ち、岡田彰布前監督(50)とバトンタッチ対談を行い、久保田智之投手(27)を先発で使う考えを表明。岡田阪神の代名詞だったJFKは解体され、09年に向けて投手陣は再編成されることになる。なお、この対談は3日間に渡って、掲載します。

 阪神の監督交代劇といえば、常にドロドロとしたイメージがつきまとってきた。だが今回は違う。すがすがしいバトンタッチであった。歴史的V逸の責任を取りユニホームを脱いだ岡田氏から、受け継ぐ真弓新監督。2人には共通項がある。アキノブという名前だけではない。1985年、優勝を導いたV戦士。あの時代に生きたきずなは強い。

 岡田氏 新監督、おめでとうございます。

 真弓監督 岡田こそ5年間、ご苦労さま。

 固い握手を交わし、前監督と新監督が語り始めた。

 岡田氏 2004年は別にして05年からの4年間で、十分戦っていけるチームになったと思う。特に投手陣ですわ。ここがしっかりしているから、そこそこ勝てると思う。真弓さんも野球は投手力と、感じてると思うけど。

 真弓監督 もちろん岡田と同じ考えだ。とにかく守りの強い野球を引き継ぎたいし、そのスタッフを育ててくれたんだから。間違った野球はしてないし、それを受け継いでいくよ。

 岡田氏 オレの場合、打つ方に関してはそれほど期待はしてなかった。バッターやったからわかる。10回打って3安打すれば上出来の世界。失敗が7回もあるわけ。なかなか打てんもんよ。だけど投手は違う。計算できるわけでしょ。だから投手力のあるチームは強い。

 真弓監督 その投手スタッフだが、考えていることがあってね。久保田を先発に回そうと思っている。岡田が構築したJFKだが、その中で久保田を配置転換しようと考えているんよね。

 岡田氏 それは監督の考え。何も言うことはないけど、久保田もやっぱり先発したいと思っている。ブルペンで投げている時も必ずセットではなく、振りかぶって投げよる。あれは先発でやりたい、という意思表示なんよね。

 真弓監督 今年も感じたけど、どうも弱気になってしまっていると映る。リリーフして結果が残せず、精神面にそれが影響している。だから先発に回したら、久保田の持ち味がまた生かせるのではないか、と。

 岡田氏が築き上げたJFKは球界の革命的なシステムだった。それを真弓監督は引き継ぐものと思っていたが、そうじゃなかった。真弓監督が見せた色。そのスタートがJFKの解散、久保田の先発転向である。

 岡田氏 でもね真弓さん。久保田が先発に回っても、はたしてローテーションに入れるかどうか。それほど先発スタッフは強力ですからね。石川だって、ブルペンで見たら、なんやこの球って驚くくらい威力は感じないけど、いざ試合になれば勝てる投手になる。そこを見極めることですよね。

 ともに野手出身である。だから話は打撃に向くと思われるが、それは逆。野手出身監督だからこそ、投手力には敏感になる。

 真弓監督 投手力が勝負の決め手になるということを岡田が5年間で実証してきた。それを受け継いでいく。例えばアッチソンが十分にセットアッパーで使えることがわかり、逆にウィリアムスが相手に慣れられていることもわかった。そういうプラスとマイナスを判断していって、総合的にスタッフを決めていくよ。

 真弓監督が望んだ前監督との対談。岡田氏のトレトレピチピチの情報は新監督には重大な今後のヒントになる。話はヒートアップしてきた。(つづく=取材構成・内匠宏幸)

【2008/10/28 Nikkansports】
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