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【シアトル7日=丹羽政善】ヤンキースの番記者らは、シアトルに来る前のレイズ戦で3連勝できなかった時点で、「ヤンキースの今季は終わった」と考えていたよう。選手はもちろん、そんなことは口にしないが、クラブハウスに入れば、その空気が明らかに違ったそうだ。

 そのヤンキースが、マリナーズを相手に1勝2敗。地区でも4位に転落し、残念ながらこれで昨年まで13年間続いたプレーオフ出場が、途絶えることになりそう。

 残り19試合で、ア・リーグ東地区首位のレイズまでは10ゲーム差。ワイルドカード争いで首位のレッドソックスに8・5ゲーム差だが、レッドソックスとの間には、ツインズとブルージェイズがいる。まとめて抜くには、あまりにも試合数が足りない。

 最後にヤンキースがポストシーズン出場権を逃したのは、1993年のこと(ストライキでシーズン打ち切りとなった94年を除く)。

 その頃まだ、世の中にインターネットなど普及していなかった。メールのことを丁寧に電子メールなどと呼んでいた。そして、携帯電話を持っていることが、珍しかった時代。

 それを考えれば、本当に時代を感じる。

「ヤンキースなんかは、全部勝ちに来てたでしょうからね。タコマ・マリナーズにやられたらきついでしょうね」

 城島健司は試合後、そう言いながら苦笑したが、だからといって苦しんでいるのは、マリナーズの方。城島は寂しげなまなざしで言葉をつないだ。

「優勝争いしているチームの方がまだまし。借金が30もあるチームは、楽にやっているように見えるけど、嫌なもんですよ」

 確かにそうだ。選手もファンも、「もう、後がない」――そんな状況に苦しみながらも、楽しんでいる。

 勝敗に一喜一憂できる――5月で脱落したチームのファンと9月までプレーオフを争ったチームのファンと、どちらが幸せかということである。

 その苦しみを越えて勝つ喜びを知る城島には、なおのこと、今の状況が重く感じられるに違いない。

 マリナーズが最後にプレーオフに出場したのは2001年。

 あれからもう7年。

 ちょうど、ブッシュ政権の1年目だったが、数ヶ月後には新大統領が誕生する。

 ヤンキースほどではないが、ここにも時代の移り変わりが、感じられる。

【2008/9/8 MAJOR.JP】
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