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3月18日、『イングリッシュ・ペイシェント』(96)でアカデミー賞を受賞した映画監督・脚本家のアンソニー・ミンゲラがロンドンで死去した。54歳だった。
広報担当者によるとミンゲラはチャリング・クロス病院で頸部の簡単な手術を受けた3月17日火曜の朝5時、突然脳内出血に見舞われ、帰らぬ人となった。
ミンゲラの最後の作品となったのはBBC/HBOのテレビ映画“No.1 Ladies Detective Agency”で、ボツワナを舞台としたアレクサンダー・マッコール・スミスの小説を原作としたもの。来る3月23日にBBCでプレミア放送される予定であった。
映画における遺作は2007年に製作されたジュード・ロウ主演の『こわれゆく世界の中で』。今年のアカデミー賞候補となったジョージ・クルーニー主演『フィクサー』ではエグゼクティブ・プロデューサーを務めた。また1996年には脚本・監督を務めた『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞監督賞を受賞。
その他監督としての代表作に『コールド マウンテン』(04年)『リプリー』(00年)などがある。
1954年にイギリス・ワイト島でイタリア系移民の子として産まれたミンゲラは両親のアイスクリーム屋を手伝いながら、脚本家になることを夢見る少年だった。家族の反対を押し切ってハル大学で英文学と演劇を学んだのち、ウェストエンドで上映される演劇の脚本や、ラジオ・テレビの脚本で次第に認められるようになった。BBCの人気ミステリー「モース警部」シリーズの数話を書いたこともある。
映画監督・脚本家としてのスタートとなったのは死んだ恋人につきまとわれる女性を描いた『愛しい人が眠るまで』(91年)。以降タイトル通り英国人の患者が主人公の『イングリッシュ・ペイシェント』(96年)、魅力的な犯罪者を描いた『リプリー』(2000年)など、ミンゲラの作品は、素晴らしくも恐ろしくもある見知らぬ土地に放り込まれた異邦人が物語の中心となっている場合が多く“アウトサイダー”が終生のテーマでもあった。
アンソニー・ミンゲラは最近ブリティッシュ・フィルム・インスティチュートのチェアマンを辞任したばかりであった。また彼はシドニー・ポラック監督とミラージュ・エンタープライズを共同経営していた。
【影視】アンソニー・ミンゲラ監督の死にジュード・ロウらから悲しみの声
18日(火)、突然報じられた映画監督で脚本家のアンソニー・ミンゲラの死に、関係者、友人たちから悲しみの声が寄せられた。
ジュード・ロウの写真
3本のミンゲラ監督作品、『リプリー』(00年)『コールド マウンテン』(04年)『こわれゆく世界の中で』(07年)に出演したジュード・ロウは語った。
「早過ぎる死に深いショックを受け、悲しみにくれています。私は、ほかのどの監督よりも多い、3つの作品で彼と一緒に仕事しました。でも、仕事仲間としてよりも、友人として彼を大事に思っていました。彼は、素晴らしい才能に満ちた脚本家であり、監督でした。彼の書く会話は、演じるのが楽しく、スクリーンで見ても自然なんです。仕事を遊びのように変えてくれる人で、親切で、暖かく、頭がよくておもしろい。フットボール、オペラ、映画、音楽、文学などすべてのことに興味を持ち、家族を心から愛していました。彼の家族に弔意を表し、愛をおくります。彼がいなくなってとても寂しい」
また、長きにわたる仕事仲間で、友人であったハーヴェイ・ワインスタインは、「アンソニーを失ってショックを受け、傷ついています。彼は私のよき相談相手であり、パートナーであり、とりわけ兄弟のような存在でした。彼が映画に込めた優雅さや喜び、優しさは、彼自身の人生や、彼に感動を受けたたくさんの人々の象徴です。彼とはプロとして、個人として、多くの時を共にしてきました。私はそれらを今後の人生の宝物にします。彼の素晴らしい家族の悲しみに弔意を表し、心からの祈りを捧げます」と語った。
ミンゲラは『イングリッシュ・ペイシェント』(96年)でアカデミー賞監督賞を受賞、同作では脚色賞のノミネーションも受けた。また『リプリー』(00年)では脚本賞にもノミネートされている。
ミンゲラは、妻でプロデューサーのCarolyn Choaとふたりの子ども、ハンナとマックスを残した。ハンナは先週、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションの製作部門の社長に任命されたばかり。マックスは俳優として、現在はスペインの監督、アレハンドロ・アメナーバルの作品“Agora”を撮影中。
また、ミンゲラは、今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされたジョー・ライト監督作品『つぐない』の最後の部分で、テレビのインタビュアー役を演じたのが唯一の役者体験だった。
彼の次回作はワインスタイン社の“The Ninth Life of Louis Drax” になるはずだった。
ミンゲラには、イギリス首相ゴードン・ブラウンや前首相トニー・ブレアから賛辞を受ける、イギリスの著名人としての地位もあった。ブレアとは05年の選挙放送を共に指揮した。
イギリス映画評議会のCEOジョン・ウッドワードは、「アンソニーはたくさんの芸術様式に精通していましたが、なによりも彼の世代におけるイギリスの偉大な映画作家のひとりでした」とコメントした。「彼は映画ごと、フレームごとに心血を注ぎ、その影響力は映画のみならず、イギリスと世界を結ぶ一流の大使のようでした」。
アンソニー・ミンゲラは脳内出血により、ロンドンで亡くなった。54歳だった。
【2008/3/19 Variety Japan】
広報担当者によるとミンゲラはチャリング・クロス病院で頸部の簡単な手術を受けた3月17日火曜の朝5時、突然脳内出血に見舞われ、帰らぬ人となった。
ミンゲラの最後の作品となったのはBBC/HBOのテレビ映画“No.1 Ladies Detective Agency”で、ボツワナを舞台としたアレクサンダー・マッコール・スミスの小説を原作としたもの。来る3月23日にBBCでプレミア放送される予定であった。
映画における遺作は2007年に製作されたジュード・ロウ主演の『こわれゆく世界の中で』。今年のアカデミー賞候補となったジョージ・クルーニー主演『フィクサー』ではエグゼクティブ・プロデューサーを務めた。また1996年には脚本・監督を務めた『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞監督賞を受賞。
その他監督としての代表作に『コールド マウンテン』(04年)『リプリー』(00年)などがある。
1954年にイギリス・ワイト島でイタリア系移民の子として産まれたミンゲラは両親のアイスクリーム屋を手伝いながら、脚本家になることを夢見る少年だった。家族の反対を押し切ってハル大学で英文学と演劇を学んだのち、ウェストエンドで上映される演劇の脚本や、ラジオ・テレビの脚本で次第に認められるようになった。BBCの人気ミステリー「モース警部」シリーズの数話を書いたこともある。
映画監督・脚本家としてのスタートとなったのは死んだ恋人につきまとわれる女性を描いた『愛しい人が眠るまで』(91年)。以降タイトル通り英国人の患者が主人公の『イングリッシュ・ペイシェント』(96年)、魅力的な犯罪者を描いた『リプリー』(2000年)など、ミンゲラの作品は、素晴らしくも恐ろしくもある見知らぬ土地に放り込まれた異邦人が物語の中心となっている場合が多く“アウトサイダー”が終生のテーマでもあった。
アンソニー・ミンゲラは最近ブリティッシュ・フィルム・インスティチュートのチェアマンを辞任したばかりであった。また彼はシドニー・ポラック監督とミラージュ・エンタープライズを共同経営していた。
【影視】アンソニー・ミンゲラ監督の死にジュード・ロウらから悲しみの声
18日(火)、突然報じられた映画監督で脚本家のアンソニー・ミンゲラの死に、関係者、友人たちから悲しみの声が寄せられた。
ジュード・ロウの写真
3本のミンゲラ監督作品、『リプリー』(00年)『コールド マウンテン』(04年)『こわれゆく世界の中で』(07年)に出演したジュード・ロウは語った。
「早過ぎる死に深いショックを受け、悲しみにくれています。私は、ほかのどの監督よりも多い、3つの作品で彼と一緒に仕事しました。でも、仕事仲間としてよりも、友人として彼を大事に思っていました。彼は、素晴らしい才能に満ちた脚本家であり、監督でした。彼の書く会話は、演じるのが楽しく、スクリーンで見ても自然なんです。仕事を遊びのように変えてくれる人で、親切で、暖かく、頭がよくておもしろい。フットボール、オペラ、映画、音楽、文学などすべてのことに興味を持ち、家族を心から愛していました。彼の家族に弔意を表し、愛をおくります。彼がいなくなってとても寂しい」
また、長きにわたる仕事仲間で、友人であったハーヴェイ・ワインスタインは、「アンソニーを失ってショックを受け、傷ついています。彼は私のよき相談相手であり、パートナーであり、とりわけ兄弟のような存在でした。彼が映画に込めた優雅さや喜び、優しさは、彼自身の人生や、彼に感動を受けたたくさんの人々の象徴です。彼とはプロとして、個人として、多くの時を共にしてきました。私はそれらを今後の人生の宝物にします。彼の素晴らしい家族の悲しみに弔意を表し、心からの祈りを捧げます」と語った。
ミンゲラは『イングリッシュ・ペイシェント』(96年)でアカデミー賞監督賞を受賞、同作では脚色賞のノミネーションも受けた。また『リプリー』(00年)では脚本賞にもノミネートされている。
ミンゲラは、妻でプロデューサーのCarolyn Choaとふたりの子ども、ハンナとマックスを残した。ハンナは先週、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションの製作部門の社長に任命されたばかり。マックスは俳優として、現在はスペインの監督、アレハンドロ・アメナーバルの作品“Agora”を撮影中。
また、ミンゲラは、今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされたジョー・ライト監督作品『つぐない』の最後の部分で、テレビのインタビュアー役を演じたのが唯一の役者体験だった。
彼の次回作はワインスタイン社の“The Ninth Life of Louis Drax” になるはずだった。
ミンゲラには、イギリス首相ゴードン・ブラウンや前首相トニー・ブレアから賛辞を受ける、イギリスの著名人としての地位もあった。ブレアとは05年の選挙放送を共に指揮した。
イギリス映画評議会のCEOジョン・ウッドワードは、「アンソニーはたくさんの芸術様式に精通していましたが、なによりも彼の世代におけるイギリスの偉大な映画作家のひとりでした」とコメントした。「彼は映画ごと、フレームごとに心血を注ぎ、その影響力は映画のみならず、イギリスと世界を結ぶ一流の大使のようでした」。
アンソニー・ミンゲラは脳内出血により、ロンドンで亡くなった。54歳だった。
【2008/3/19 Variety Japan】
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