ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の余韻を残し、ペナント開幕から約1カ月が経過。セは巨人、パは西武が首位を快走しているが、 開幕前にWBCへ選手を多数派遣した影響が少なからず出てしまった球団がある。パの常勝軍団・ソフトバンクと昨年のアジア王者・ロッテ、セでは最多の4人を派遣したヤクルトが低迷。この3チームの“WBC後遺症”は一体どこにあったのか…。米大リーグを含め、WBCのその後を検証する。

WBCの選手派遣はロッテが最多8人、続いてソフトバンクの5人、ヤクルトの4人(途中離脱の石井弘含む)。修羅場をくぐり抜けたWBC戦士が世界一の「勢い」をチームにもたらすどころか、苦しい戦いを強いられている。

監督自身もチームを“空き家”にした王監督は「チームの骨格ができるのは、5月すぎから6月になる」と長期的ビジョンでチームの構築を示唆。借金「2」で5位に低迷するロッテ・バレンタイン監督に至っては
「8人も選ばれ、確実に影響しているんだ」と報道陣が聞き飽きるほどボヤきっ放しだ。

では、一体その原因はどこにあったのか?くしくもこの3チームには共通項がある。ロッテ・西岡、ソフトバンク・川崎、ヤクルト・宮本…。すべて遊撃手が開幕前の大事な調整期間にチームを離れ、WBCに参加したのだ。

一方、首位を快走する西武と巨人は、遊撃手が絶好調。昨年不振だった中島がパ2位の打率3割4分1厘と攻守ともに復調し、巨人は二岡が打率3割2分1厘と好調を持続している。巨人・篠塚内野守備走塁コーチは、近代野球の遊撃手の重要性をこう解説した。

「ショートは動く範囲も広いし、センターラインでも最も重要なポジション。
信頼を置く遊撃手の存在は投手陣はもちろんだけど、チームに安心感を与える。オープン戦で戦っていても相手のショートのポジションにレギュラーがいないと戦いやすい」

川崎は、開幕からWBCでの右ヒジじん帯損傷で戦線離脱、宮本はオープン戦わずか3試合出場、西岡に至ってはオープン戦出場なしのぶっつけで本番に突入。

内野のキーマンが今季の方針やスタイルに溶け込む以前に開幕を迎えたことが、ペナントに暗い影を落としているといっても、言い過ぎではないかもしれない。

【2006/4/25 中日スポーツ】
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