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 因縁の対決は、佑ちゃんに軍配-。第61回国民体育大会「のじぎく兵庫国体」の高校野球硬式は4日、兵庫県高砂市の高砂市野球場で行われ、夏の甲子園で37年ぶり決勝引き分け再試合を演じた早実(東京)と駒大苫小牧(北海道)の再対決となった決勝は、早実が1-0で完封勝ちして優勝。エース斎藤佑樹投手(3年)は、怪物右腕・田中将大投手(3年)との息詰まる投手戦を制し、夏に続いて頂点をつかんだ。世代最強を競った2人のライバルは高校野球ラスト舞台を終え、4年後の再対決を誓った。

 最後の打者を三振に仕留めると、自然とガッツポーズが出ていた。秋空よりもさわやかな笑顔で、斎藤が高校野球ラスト舞台を締めくくった。

 夏の甲子園決勝の再戦となった因縁の一戦。斎藤がまたも田中に投げ勝った。「決着をつけたい舞台でした」。9安打され走者を背負っても、3併殺で切り抜け本塁を死守。六回一死二塁のピンチは4、5番を連続三振に斬った。四回に自らたたき出した1点を守り切っての完封勝利だった。

 「田中にありがとうと言いたい」。斎藤は感謝した。咋秋の明治神宮大会で初めて対戦した。すでに夏の甲子園で注目を集めていた田中は、高速スライダーに140キロ後半の直球を駆使する超高校級投手だった。この敗戦から、チームの合言葉は“打倒・田中”となった。

 そして巡ってきた今夏の甲子園。球史に残る熱戦を制したが、それでも斎藤は、高校野球最後の舞台で田中を倒すことにこだわった。「スローガンどおり1-0で勝つことができてうれしい」。素直な気持ちだった。

 伝説の名勝負を演じ、社会現象にまでなった2人は、互いを認め合う存在となった。米国遠征を通じて友情も深めた。二回、打席に田中を迎えた場面では、初球に大胆なスローカーブを投じた。見逃した田中はマウンドに向かって苦笑い。2人の世界だった。

 しばらくは別々の道を歩む。早大に進学する斎藤は「レベルアップして、プロで通用するようになりたい」と4年後のプロ入りを誓う。すでに楽天の1巡目指名を受けている田中は、ひと足早くプロの世界へ旅立つ。

 試合後、田中と固い握手を交わした斎藤は「いい仲間としてライバルとして、また勝負したい。2人で勝負して、プロ野球を盛り上げたい」。もちろん田中の気持ちも同じ。「将来的に対戦できたらいい」。プロの舞台での再戦を胸に高校野球を卒業した。


田中悔し…「斎藤一人にやられた」

 「のじぎく兵庫国体」高校野球硬式決勝(4日・高砂市野球場)、唯一のタイムリーを最大のライバルに打たれ、田中は唇をかんだ。「打つほうも投げるほうも斎藤1人にやられた」。被安打4本のうち2本は斎藤に打たれた。

 「(適時打は)失投といえば失投。あいつ多分真っすぐに合わせてるな、と思ったのでこっちも直球勝負した」。その後の打席で変化球を投げたところ、タイミングがまったく合っておらず「もう少し早く気付けばよかった」と反省した。

 選手権に続き、またも決勝で早実に阻まれ国体連覇を逃した。「斎藤は今年一番勝っている投手。同年代の選手には負けたくないが、最後に負けて悔しい。リベンジしたかった」と充実感の中に無念さをにじませた。

 昨秋の神宮大会で初対戦し「いきなり140キロを出してびっくりした」と鮮烈な印象を抱いた斎藤と、1年間で4試合を戦った。この日も「向こうも抑えてたし自分も踏ん張って抑えようと思った」と意識し、息詰まる投手戦を展開した。

 夢対決を終えた2人は試合後、笑顔で言葉を交わした。「将来的にまた(プロで)対戦できたら」。夢の続きはプロの世界。次こそやり返す。

【2006/10/5 デイリースポーツ】
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