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阪神に衝撃だ。今季、プロ野球タイ記録の46セーブを挙げた藤川球児投手(27)が12日、西宮市の球団事務所でポスティングシステム(入札制度)によるメジャー移籍を球団に直訴した。代理人の橋岡宏成弁護士(40)を同伴し、2回目の契約交渉に臨んだが、条件提示は受けずにメジャー挑戦への希望を伝えた。今オフの容認は現実的に厳しいと見られ、来オフのメジャー移籍を目指すことになる。今年ヤンキースに移籍した井川に続き、阪神は再び大きな“問題”を抱えることになった。
藤川は正直に、自分の胸のうちを南球団社長に伝えた。第2回契約交渉の場。1時間40分の時間すべてを使ってぶつけたのは、球団にとっては衝撃の「メジャー移籍」願望だった。会見場に現れると、話し合いの内容を包み隠さず語り出した。
「自分の方から球団の方にお願いしたい気持ちがあった。実際、ここで話すことはすごく怖いんですけど、アメリカで、メジャーリーグでチャレンジしたいと。球団にお願いに来て、話を聞いて欲しいと言いました」
06年のWBCに日本代表として初出場。今月には日本代表として、北京五輪出場権をかけたアジア予選を勝ち抜く原動力にもなった。世界中の並み居る強打者と対戦していく中、自分のストレートがどこまで通用するか、試したい衝動を抑えられなくなった。同世代で海を渡ったレッドソックス松坂の活躍も刺激になった。
「自分のストレートが投げられるうちに、どこまでのパワーをもって、世界各国から集まったバッターに対していけるのか、試してみたい」
台湾から帰国後、眠れない日々を過ごした。チームメート、ファンに与える影響の大きさも十分過ぎるほど分かっていた。最後はこの気持ちを自分の言葉で伝えないまま、来季プレーすることの方が、周囲への「裏切り」になるのでは、との結論に至った。
FAで権利を勝ち取るのは現行制度のままなら12年オフ。1年短縮の制度改正が実現しても11年オフ。藤川は31歳を迎えている。
「来年、潰(つぶ)れるかも分からない」
日本プロ野球屈指と呼ばれるようになった火の玉ストレートを投げられる時期が、どれだけあるのか本人にも分からない。だからこそ、あえて公の場で、最短08年オフのポスティング移籍を「お願い」という形で訴えた。
すぐに出来る限り多くのチームメートに電話をかけ、自分の言葉で自分の希望を伝えた。近日中に家族とともに渡米。現地の施設でトレーニングに励む予定でいる。第3回以降の交渉は、井川のポスティング移籍を認めさせた代理人でもある橋岡宏成弁護士(40)に一任。メジャー移籍を年俸の「つり上げ」材料に利用する気はない。契約更改のサインも年明けになることを自ら明かし、早々と“越年”契約も決めた。
「伝えることがこの日の最大の目的。来年、阪神で何としても勝ちたい、という気持ちになった。メラメラと燃え上がるような気持ち。今まで以上に頑張ろうという気力に変わったのは間違いない。北京(五輪)も大事だけど、それよりタイガースの一員として巨人、中日を倒したい」
メジャー願望はひとまず胸の奥にしまい、藤川は来季、阪神での優勝に全精力を傾けると宣言した。同時に球団はエース井川に続き、守護神の流出危機という、大きな難問を抱えることとなった。【片山善弘】
球児「ファンに自分にウソつけない」
-提示はあったのか
藤川「お願いしたいことがあり、それを伝えに来させていただいた」。
-どんな話を
藤川「『アメリカのメジャーに挑戦したい』と球団にお願いしました」。
-心情は
藤川「去年WBCに行って、世界の一流選手が集まる頂点に立ってみて、日本の野球の素晴らしさを改めて感じた。ただ自分が野球選手として認めていただく中で、自分の言葉にウソをついたことはないし、プレースタイルでもウソをついたことはない。来年プレーするにあたって、どうしても気持ちを抑えられなくなった。批判は覚悟している。チームメート、ファンに何を言っている、と思われるかもしれないけれど…。これだけ注目していただいている以上、ありのままを姿を伝えたい。藤川球児を目指したい、という人に、ウソはつけない」。
-気持ちが固まったのは
藤川「今年のシーズン前。日本人の活躍を目にする機会が増え、すごく意識した。自分もいち野球人である間に何が残せるのか。3年間しか頑張った年はないけど自分の人生は1回しかないので…」。
-一番のきっかけは
藤川「責任ある立場になって、自分の心に後ろめたい気持ちを持ちたくない、という考えが強くなった」。
-球団からの返事は
藤川「もちろん球団のスタイルとして行かせるはずはない、と。「NO」と言われるのは分かっていた。今の心境は、とにかく絶対に来年タイガースで優勝したい。目標を持つことで努力するだろうし、それを証明したい」。
-改めて提示はなかった
藤川「全くない。年俸の釣り上げと思われるのが1番嫌だった。(この話をしたからといって)条件を変えないで欲しいと言った。球団も分かってくれたと思う。単純に自分のストレートが投げられるうちに、世界各国から集まるバッターに投げたい。勝手な思いですけど」。
-来季に臨む気持ちに揺らぎはないのか
藤川「ピッチャーをまとめて優勝する。(チームメートの)みんなに理解してもらえるか分からないですけど。1つは長期的なビジョンで考えて、来年に向かう気持ちとは別々に分けて考えている」。
-FAまで長すぎる
藤川「言える立場ではありません。ただ球団もちゃんと選手のことを考えてくれていて短縮の動きの話までしてもらった」。
-ファンの反応は
藤川「台湾から帰って寝れなかった。恐怖というか、怖いですね。でも自分にウソをつくことによって見ている子供たち、ファンがどう思うか。(将来の)コメントを求められて、そこでウソをつく。子供たちの将来にそれでいいのか。こういう人間もいるんだ。多少でも伝われば。『間違っている』という声もあると思う。誰も見ていないところで野球をしたことはない。ボクはみんなが期待してくれるから頑張れる。自分で自分を一人前の社会人とも思わない。ただ、ありのままの自分を伝えたかった。それがボクの生き様。あとでこれもいい経験と思えるようにしたかった」。
-阪神はポスティングを簡単に認めない
藤川「『YES』と言われないのは分かっている。それなら理解してもらうところからスタートしないと。球団だけでなくファンも同じ。クビになりそうなときもあったけど面倒を見てくれた球団。大好きだし、愛している。でもここで言わないまま一生終わるんだったら前に行ってみたかった。困難な道のりだと思う。でもいい形で送り出してもらえるようになれば幸せ。それが答えとして正解なのかも今は分からない」。
-近く渡米する?
藤川「アメリカに行ってみっちりと体を磨いて全然違う自分を見てもらいたい。行くのは施設がアメリカの方がしっかりしているから」。
-メジャーについて来シーズン中に話し合うことは
藤川「絶対ない。今日『ありがとうございました』で終わっている。(キャンプが始まる)春にはみんなで優勝するんだ、と。こういうことを言っている自分がまず受け入れてもらわないといけない」。
【2007/12/13 Nikkansports】
藤川は正直に、自分の胸のうちを南球団社長に伝えた。第2回契約交渉の場。1時間40分の時間すべてを使ってぶつけたのは、球団にとっては衝撃の「メジャー移籍」願望だった。会見場に現れると、話し合いの内容を包み隠さず語り出した。
「自分の方から球団の方にお願いしたい気持ちがあった。実際、ここで話すことはすごく怖いんですけど、アメリカで、メジャーリーグでチャレンジしたいと。球団にお願いに来て、話を聞いて欲しいと言いました」
06年のWBCに日本代表として初出場。今月には日本代表として、北京五輪出場権をかけたアジア予選を勝ち抜く原動力にもなった。世界中の並み居る強打者と対戦していく中、自分のストレートがどこまで通用するか、試したい衝動を抑えられなくなった。同世代で海を渡ったレッドソックス松坂の活躍も刺激になった。
「自分のストレートが投げられるうちに、どこまでのパワーをもって、世界各国から集まったバッターに対していけるのか、試してみたい」
台湾から帰国後、眠れない日々を過ごした。チームメート、ファンに与える影響の大きさも十分過ぎるほど分かっていた。最後はこの気持ちを自分の言葉で伝えないまま、来季プレーすることの方が、周囲への「裏切り」になるのでは、との結論に至った。
FAで権利を勝ち取るのは現行制度のままなら12年オフ。1年短縮の制度改正が実現しても11年オフ。藤川は31歳を迎えている。
「来年、潰(つぶ)れるかも分からない」
日本プロ野球屈指と呼ばれるようになった火の玉ストレートを投げられる時期が、どれだけあるのか本人にも分からない。だからこそ、あえて公の場で、最短08年オフのポスティング移籍を「お願い」という形で訴えた。
すぐに出来る限り多くのチームメートに電話をかけ、自分の言葉で自分の希望を伝えた。近日中に家族とともに渡米。現地の施設でトレーニングに励む予定でいる。第3回以降の交渉は、井川のポスティング移籍を認めさせた代理人でもある橋岡宏成弁護士(40)に一任。メジャー移籍を年俸の「つり上げ」材料に利用する気はない。契約更改のサインも年明けになることを自ら明かし、早々と“越年”契約も決めた。
「伝えることがこの日の最大の目的。来年、阪神で何としても勝ちたい、という気持ちになった。メラメラと燃え上がるような気持ち。今まで以上に頑張ろうという気力に変わったのは間違いない。北京(五輪)も大事だけど、それよりタイガースの一員として巨人、中日を倒したい」
メジャー願望はひとまず胸の奥にしまい、藤川は来季、阪神での優勝に全精力を傾けると宣言した。同時に球団はエース井川に続き、守護神の流出危機という、大きな難問を抱えることとなった。【片山善弘】
球児「ファンに自分にウソつけない」
-提示はあったのか
藤川「お願いしたいことがあり、それを伝えに来させていただいた」。
-どんな話を
藤川「『アメリカのメジャーに挑戦したい』と球団にお願いしました」。
-心情は
藤川「去年WBCに行って、世界の一流選手が集まる頂点に立ってみて、日本の野球の素晴らしさを改めて感じた。ただ自分が野球選手として認めていただく中で、自分の言葉にウソをついたことはないし、プレースタイルでもウソをついたことはない。来年プレーするにあたって、どうしても気持ちを抑えられなくなった。批判は覚悟している。チームメート、ファンに何を言っている、と思われるかもしれないけれど…。これだけ注目していただいている以上、ありのままを姿を伝えたい。藤川球児を目指したい、という人に、ウソはつけない」。
-気持ちが固まったのは
藤川「今年のシーズン前。日本人の活躍を目にする機会が増え、すごく意識した。自分もいち野球人である間に何が残せるのか。3年間しか頑張った年はないけど自分の人生は1回しかないので…」。
-一番のきっかけは
藤川「責任ある立場になって、自分の心に後ろめたい気持ちを持ちたくない、という考えが強くなった」。
-球団からの返事は
藤川「もちろん球団のスタイルとして行かせるはずはない、と。「NO」と言われるのは分かっていた。今の心境は、とにかく絶対に来年タイガースで優勝したい。目標を持つことで努力するだろうし、それを証明したい」。
-改めて提示はなかった
藤川「全くない。年俸の釣り上げと思われるのが1番嫌だった。(この話をしたからといって)条件を変えないで欲しいと言った。球団も分かってくれたと思う。単純に自分のストレートが投げられるうちに、世界各国から集まるバッターに投げたい。勝手な思いですけど」。
-来季に臨む気持ちに揺らぎはないのか
藤川「ピッチャーをまとめて優勝する。(チームメートの)みんなに理解してもらえるか分からないですけど。1つは長期的なビジョンで考えて、来年に向かう気持ちとは別々に分けて考えている」。
-FAまで長すぎる
藤川「言える立場ではありません。ただ球団もちゃんと選手のことを考えてくれていて短縮の動きの話までしてもらった」。
-ファンの反応は
藤川「台湾から帰って寝れなかった。恐怖というか、怖いですね。でも自分にウソをつくことによって見ている子供たち、ファンがどう思うか。(将来の)コメントを求められて、そこでウソをつく。子供たちの将来にそれでいいのか。こういう人間もいるんだ。多少でも伝われば。『間違っている』という声もあると思う。誰も見ていないところで野球をしたことはない。ボクはみんなが期待してくれるから頑張れる。自分で自分を一人前の社会人とも思わない。ただ、ありのままの自分を伝えたかった。それがボクの生き様。あとでこれもいい経験と思えるようにしたかった」。
-阪神はポスティングを簡単に認めない
藤川「『YES』と言われないのは分かっている。それなら理解してもらうところからスタートしないと。球団だけでなくファンも同じ。クビになりそうなときもあったけど面倒を見てくれた球団。大好きだし、愛している。でもここで言わないまま一生終わるんだったら前に行ってみたかった。困難な道のりだと思う。でもいい形で送り出してもらえるようになれば幸せ。それが答えとして正解なのかも今は分からない」。
-近く渡米する?
藤川「アメリカに行ってみっちりと体を磨いて全然違う自分を見てもらいたい。行くのは施設がアメリカの方がしっかりしているから」。
-メジャーについて来シーズン中に話し合うことは
藤川「絶対ない。今日『ありがとうございました』で終わっている。(キャンプが始まる)春にはみんなで優勝するんだ、と。こういうことを言っている自分がまず受け入れてもらわないといけない」。
【2007/12/13 Nikkansports】
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