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 初夏に甲子園で会いましょう-。昨年12月に右肩の手術を受けた阪神・林威助外野手(28)が12日、故郷・台湾から再来日。鳴尾浜に姿を見せ、5月の交流戦での復帰を目標に掲げた。当初の後半戦合流の見立てから大幅変更。虎党に朗報だ。





 新年を迎えて10日余り。虎党にちょっと遅めの“お年玉”が届いた。台湾から朗報を運んできたのは林だ。

 「交流戦には出られるようにしたいと思ってます」

 母国から再来日して虎風荘に戻ってきた男は、ハニカミながら“想定外”の嬉しい言葉を発した。

 昨年12月15日、米国内で右肩手術を受け、今季に関しては「試合復帰まで6カ月。前半戦絶望」の診断が発表された。球団内でも「選手が疲れてくる後半戦の救世主になってくれれば」と、受けとめられ、『夏男』として期待されていた。ところが診断結果を聞いている本人の話はちょっと違っていた。

 「(手術から)4カ月経ったら、制限無しに動かせる。あとはリハビリ次第。復帰まで6カ月? それより早くなると思うよ」

 手術を受けた後は、そのまま米国から台湾に帰国。日本よりはるかに温暖な気候の自宅でリハビリを続けてきたことも、プラスに作用した。「1カ月間固定しておくように」と指示されていたギプスを台湾を出発する前に外して、日本にやってきたという。手術日から単純計算すると、1カ月経たないうちに外したことになる。それだけ、回復が順調な証拠だ。

 「まだ、モノをつかんで軽く動かす程度のリハビリしかしてないけれど…。でも、大丈夫。それに、台湾はまだ出場権を獲得していないけれど、出られるなら(北京)五輪にも出たい」

 3月の世界最終予選には間に合わないが、8月の本番では母国のために戦いたい意向も示した。こちらはペナントの真っ最中だけに、球団との話し合い次第だが、見通しが明るいからこそ、の希望だ。

 ライバルとなる桜井や新外国人フォードの名前を聞かされると「きちんと治したら、去年以上の成績が残せる」とここでも力強かった。

 交流戦前に組まれた阪神の試合は45試合。80試合近く林不在を覚悟していた岡田阪神にとって、まさに嬉しい誤算になる。交流戦スタートは5月20日のオリックス戦(京セラD)。この時点でベンチに頼もしき背番号31がいてくれれば、巨人の大補強なんて怖くない。

(上田雅昭)



★林に聞く

 (虎風荘に戻ってきた林はその場で即席会見)

--手術した部分の現在の状態は

 林 「今のところ順調です。教えてもらったリハビリを続けてきました」

--今後の予定は

 「トレーナーと話をして、決めていきたい」

--今年出遅れるのは残念だが

 「去年は自分にとっても、プロに入って一番成長した年だったから…」

--台湾での周囲の反応は

 「向こうの報道は知らないけれど…。母は活躍したことよりも、けがしたことを一番心配してくれて、早く治してチームのために頑張れ、と励まされた」


■林の負傷経緯
 昨年5月13日のヤクルト戦(神宮)で一走として帰塁した際、右肩を負傷。8月29日に登録を抹消され、「右肩肩峰下滑液包炎」と診断される。9月27日の中日戦(甲子園)でスタメン復帰を果たしたが、違和感は引かずに、秋季キャンプも不参加。12月11日に診察のため渡米し、15日に右肩の手術を受ける



★恩師が代弁

 なぜ、もう少し早い時期にメスを入れなかったのか。林には、そんな“疑問”がつきまとうが、恩師の近大・榎本保監督が代弁した。「絶対に五輪に出たいと言ってました。手術をしたら出られなくなると思って、ずっと他の手段を探してました。手術を決めた後も、あまり元気はなかったですからね」。手術をすれば北京五輪は絶望と思っていただけに、劇的回復に一番喜んでいるのは、林自身なのかもしれない。


■阪神の右翼事情
 ライトの座を巡る争いは桜井と新助っ人フォードの一騎打ちが濃厚。右肩が治れば、林が筆頭候補に躍り出る。もちろん新加入の平野、桧山、浅井も定位置獲りを狙っている。浜中と赤松が移籍したものの、激戦区であることに変わりはない

【2008/1/13 サンスポ.COM】
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