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今季から阪神でプレーする新井貴浩内野手(30)が、産経新聞のインタビューに応じ、今年の最大の目標に「チームの優勝と北京五輪での金メダル」を掲げた。フリーエージェント(FA)移籍で広島を飛び出し、関西の人気球団に活躍の場を移す理由や、星野ジャパンの4番として北京五輪の舞台に向けた意気込みなどを語った。
◇
「タイガースが優勝するために必死で頑張りたい」
目標は、移籍を決断したときから決めていた。「器用じゃないので、ボールにくらいつく姿勢を出していきたい」と、広島時代から不変のがむしゃらな全力プレーを誓う。
球界屈指の人気球団への移籍1年目だが、2年連続で達成している100打点が「一つの目安になるこだわり」ときっぱり。そのうえで、優勝を争うチームで挙げる打点を「内容も質もこれまでとは違ってくる。先制点であったり、ここ一番の逆転だったり、質のいい打点を増やしていきたい」と、求められる勝負強さという期待にも応えるつもりだ。
今年もセ・リーグは、昨年の覇者である巨人、クライマックスシリーズを制して53年ぶりの日本一を達成した中日に阪神を合わせた“3強”中心の争い。「(広島時代と)注目度は全然違う。駄目なときは批判もたくさんあるだろうし、その中で結果を残せるか、成長していけるか。自分でも楽しみ」と目を輝かせる。
9年間プレーした広島への愛着は強い。「広島で生まれて、カープに育ててもらった。プロ野球選手として、すべてにおいて自分を高めてくれた球団。入団当初は今の自分がいるということが想像もつかなかった中で、昔からの独特の厳しい練習が自分をここまで育ててくれた」と感謝の言葉は尽きない。だが、万年Bクラスの4番は「優勝争いという緊迫した中で野球がしたい。優勝を味わいたい」と、古巣を飛び出した。
阪神で、再び金本と一緒にプレーできることには、「夢にも思ってなかった。早く一緒に戦いたい」と、待ちきれない思いを口にする。
すっかり師弟関係ができあがっているが、出会いは突然だったという。「新入団選手のあいさつで初めて顔を合わせたら、『おまえが新井か。かわいがっちゃるけえのう』といきなり声をかけられた。怖そうだし、うわぁ、最悪だと思った」と振り返る。しかし、そこからはいい意味でかわいがられ、「飯を食うのも酒を飲むのも練習するも、何をするのも一緒。スケールの大きさを尊敬している」と話す。
3年目の阪神戦で好機に打てなかったとき、ベンチでヘルメットを乱暴に扱うと、金本に叱責されたという。「そんなことするな。おまえがそういうことやったら、周りにいるみんなに迷惑かかるやろ。おまえ一人でやってるんじゃない。チームで野球はやっとるんやぞ」。そんなことがあったからこそ、ためらうことなく、「野球人として、社会人として、すべてを教えてもらった」と言えるのだ。
今年は北京五輪も開催される。昨年12月のアジア予選では、星野ジャパンの4番として12打数6安打、1本塁打、5打点の大活躍した。本大会でも期待が大きい背番号25は「シーズンで結果を出して8月の本選にもメンバーに選んでもらいたい。五輪は、国を挙げて戦うわけだし、歴史もあるし、特別な場所だから」と言葉にも力が入る。
「激動の一年」はFA移籍や五輪予選で慌ただしく、例年よりシーズンオフのトレーニング開始が1カ月半遅れた。まだ、新居も決まっていない。それでも「焦りはあるけど、けがしてもいけない。上半身も下半身もバランスよく、細部に分けて追い込んでいる」と、金本と広島市内のジムで行う恒例の元日トレーニングで始動させた。インタビューの最後に、「阪神の優勝と五輪の金メダルが両方とも手にできればいいですね」と問うと、「そうなったら最高の最高」と、白い歯を見せた。
(田中充)
◇
新井貴浩(あらい・たかひろ) 1977年1月30日、広島県生まれ。広島工高、駒大から98年ドラフト6位で広島に入団。2005年に本塁打王、ベストナイン(一塁手)を獲得。昨年は北京五輪アジア予選で日本代表に選出された。広島からFA宣言し、今季から阪神でプレーする。右投げ右打ち。189センチ、95キロ。
【2008/1/8 MSN産経ニュース】
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「タイガースが優勝するために必死で頑張りたい」
目標は、移籍を決断したときから決めていた。「器用じゃないので、ボールにくらいつく姿勢を出していきたい」と、広島時代から不変のがむしゃらな全力プレーを誓う。
球界屈指の人気球団への移籍1年目だが、2年連続で達成している100打点が「一つの目安になるこだわり」ときっぱり。そのうえで、優勝を争うチームで挙げる打点を「内容も質もこれまでとは違ってくる。先制点であったり、ここ一番の逆転だったり、質のいい打点を増やしていきたい」と、求められる勝負強さという期待にも応えるつもりだ。
今年もセ・リーグは、昨年の覇者である巨人、クライマックスシリーズを制して53年ぶりの日本一を達成した中日に阪神を合わせた“3強”中心の争い。「(広島時代と)注目度は全然違う。駄目なときは批判もたくさんあるだろうし、その中で結果を残せるか、成長していけるか。自分でも楽しみ」と目を輝かせる。
9年間プレーした広島への愛着は強い。「広島で生まれて、カープに育ててもらった。プロ野球選手として、すべてにおいて自分を高めてくれた球団。入団当初は今の自分がいるということが想像もつかなかった中で、昔からの独特の厳しい練習が自分をここまで育ててくれた」と感謝の言葉は尽きない。だが、万年Bクラスの4番は「優勝争いという緊迫した中で野球がしたい。優勝を味わいたい」と、古巣を飛び出した。
阪神で、再び金本と一緒にプレーできることには、「夢にも思ってなかった。早く一緒に戦いたい」と、待ちきれない思いを口にする。
すっかり師弟関係ができあがっているが、出会いは突然だったという。「新入団選手のあいさつで初めて顔を合わせたら、『おまえが新井か。かわいがっちゃるけえのう』といきなり声をかけられた。怖そうだし、うわぁ、最悪だと思った」と振り返る。しかし、そこからはいい意味でかわいがられ、「飯を食うのも酒を飲むのも練習するも、何をするのも一緒。スケールの大きさを尊敬している」と話す。
3年目の阪神戦で好機に打てなかったとき、ベンチでヘルメットを乱暴に扱うと、金本に叱責されたという。「そんなことするな。おまえがそういうことやったら、周りにいるみんなに迷惑かかるやろ。おまえ一人でやってるんじゃない。チームで野球はやっとるんやぞ」。そんなことがあったからこそ、ためらうことなく、「野球人として、社会人として、すべてを教えてもらった」と言えるのだ。
今年は北京五輪も開催される。昨年12月のアジア予選では、星野ジャパンの4番として12打数6安打、1本塁打、5打点の大活躍した。本大会でも期待が大きい背番号25は「シーズンで結果を出して8月の本選にもメンバーに選んでもらいたい。五輪は、国を挙げて戦うわけだし、歴史もあるし、特別な場所だから」と言葉にも力が入る。
「激動の一年」はFA移籍や五輪予選で慌ただしく、例年よりシーズンオフのトレーニング開始が1カ月半遅れた。まだ、新居も決まっていない。それでも「焦りはあるけど、けがしてもいけない。上半身も下半身もバランスよく、細部に分けて追い込んでいる」と、金本と広島市内のジムで行う恒例の元日トレーニングで始動させた。インタビューの最後に、「阪神の優勝と五輪の金メダルが両方とも手にできればいいですね」と問うと、「そうなったら最高の最高」と、白い歯を見せた。
(田中充)
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新井貴浩(あらい・たかひろ) 1977年1月30日、広島県生まれ。広島工高、駒大から98年ドラフト6位で広島に入団。2005年に本塁打王、ベストナイン(一塁手)を獲得。昨年は北京五輪アジア予選で日本代表に選出された。広島からFA宣言し、今季から阪神でプレーする。右投げ右打ち。189センチ、95キロ。
【2008/1/8 MSN産経ニュース】
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