close
 「ジョー」の愛称が示すように、真弓明信氏は現役時代、さわやかな笑顔とスピードあふれるプレーで人気を集めた。また、万能選手としてグラウンドで見せた多彩な才能は、野球だけにとどまらなかった。

 日本一に輝いた85年にはレコード「男の夢」「愛はふたたび」を吹き込み、注目を浴びた。さらに趣味のゴルフもハンディキャップ2とプロ級の腕前。引退後は、トッププロが出場するオープン競技で、上位入賞を果たしたこともあった。

 端正なマスクと相まって、華やかな表の顔ばかりが目につく。だが一方で、真弓氏をよく知る人は「実は九州男児の硬骨漢」と口をそろえる。その素顔を知る一人が、男子プロゴルフでツアー10勝を誇る高橋勝成プロ(58)だ。現役時代から一緒にトレーニングするなど20年以上にわたる付き合い。最初に出会った時の印象も「意見をはっきり言う、まじめな方」だった。

 誠実な人柄と、高いプロ意識を示すエピソードがある。現役引退後に地元・兵庫でのツアー大会で、真弓氏が高橋プロのキャディーを務めた時のこと。グリーン上で「どのくらい曲がるかな」と問う高橋プロに対し、真弓氏は「プロなんだから自分で考えてください」と突き放した。高橋プロは「反対に勇気が出ましたね。当たり前だけど、自分はプロだと気づかされた」という。自分がこうと信じれば、あとは迷わないのも真弓氏の性分だ。それはゴルフでのプレーにも表れた。高橋プロは「攻めるべきところは攻め、守るところは守る。決して中途半端なことはしなかった」と高く評価する。この姿勢はグラウンドでも変わらない。柳川高、阪神などで同じ釜の飯を食った若菜嘉晴氏(元日本ハム)は「現役時代には人の意見も聞くけど、最後は自分の考えを貫いていた」と振り返る。

 妥協を許さない真弓氏が阪神をどう変えていくのか。持論の一端が、引退後の著書に記されている。「タイガースの将来は甲子園ではなく、虎風荘(若手選手の住む合宿所)にある」。真弓改革は、まずは次代を担う若手の発掘から始められそうだ。(この企画は加藤敦久、和田崇、新井隆一、井沢真が担当しました)

【2008/10/27 毎日新聞】
arrow
arrow
    全站熱搜

    ht31sho 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()