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評論家・中西太氏の“他力”も利用

 就任以来、岡田前監督の野球スタイルを継承することをアピールしてきた阪神・真弓明信監督(55)。ところが、言うと行うとでは大違いだ。秋季キャンプで見せる言動は前任者とは正反対。もちろん、そこは「阪神をぶっ壊す!」などと声高に改革を振りかざすことはしない。したたかで着実に独自色に染めていく真弓流手腕とは-。

 9日、守備練習のため内野陣が集結していた室内練習場で、突然、指揮官がバットとボールを手に仁王立ち。「初ノック披露か?!」と報道陣が色めき立った。ところが、バットから放たれたゴロの先でグラブを構えていたのは、山脇外野守備走塁コーチ。ノックパフォーマンスは未遂に終わった。

 程なくグラブに持ち替えた真弓監督は、今度はボールケースの前でノックの返球を受け、ノッカーにボールを渡す“裏方サン”に早変わり。鳥谷からのボールがそれれば、「オイオ~イ!」とツッコミを入れた。

 とにかく話題を求める報道陣に、真弓監督は「体を動かしただけです。(選手へのノック?)まぁ、することはないでしょう」とニヤリ。

 ただ、そうした動きを見るにつけ、選手に対しては着実に前任者とは全く違う監督像を植え付けようとしているのがよく分かる。

 岡田前監督もキャンプ中には、マンツーマン指導の際にグラブを手にすることはあったが、あくまで手本を見せるためだった。真弓監督は「選手とともに」を基本にしている感覚だ。

 さらに、今回のキャンプでおなじみの光景となった、監督による打撃練習での球拾い。その間には、まだ1軍出場経験のない4年目・高橋勇丞外野手(22)らファームの選手にも気さくに声をかける姿が目立つ。

 岡田監督自らが選手に直接話しかけること自体、よほどのアドバイスをすることがない限り、見られなかった。

 そうした新旧両将のスタイルの違いは立ち居振る舞いだけではない。この日のケース打撃練習では、1死三塁からスクイズを仕掛ける練習を繰り返した。

 「(実戦でスクイズはある?)どうやろね。バントはアウトを1つ増やすことになる。ギャンブルの部分もあるけど、『どうしても』というときは出せるようにしたい」と断言こそしないが、さりげなく持論を展開する真弓監督。前監督なら即座に「そんなん、するわけないやろ!!」と逆ギレされるのがオチだ。

 とはいえ、前任者の影響力をまったく尊重していないわけではない。11日には岡田前監督が退任後、初めてキャンプを視察する予定だが、真弓監督自身は「いろいろ話しますよ。(選手への指導?)やってくれるなら、やってくれた方がいいですね」と歓迎の意向を示す。

 もっとも、これには裏がある。実は、今回のコーチ陣の入れ替えで、選手の一部からは早くも「あのコーチ、何を言っているのか分からないんですよ」と当惑する声が聞こえ始めている。

 今回入れ替えといっても、担当替えなど小規模に終わっている。にもかかわらず、不満分子が増幅しては一大事だ。そこで、コーチ陣や選手を掌握している岡田前監督に「芽」を小さいうちに摘み取ってもらえれば-との思惑が働いたとしても不思議ではない。

 先週には、元阪神監督で野球評論家の中西太氏にゲスト指導を頼んだばかり。そうした“他力”もちゃっかり利用して独自カラーに染めていくようだ。


【2008/11/10 ZAKZAK】
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