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 「ヒデキ・マツイ」。124日ぶりに大リーグ復帰を果たした松井秀がコールされ、第1打席に向かうと、ヤンキースタジアムを埋めた5万2000人の大観衆は立ち上がり、割れんばかりの歓声を送った。そして会心の当たりではないが、中前へ落ちる適時打。「4カ月間、この日が来ることを待っていた」という松井は、一塁ベース上でプレーできる喜びをかみしめていた。

 日米通算1768試合連続出場を続けていた「鉄人」が5月11日、スライディングキャッチの際に左手首を骨折。「見たこともない状態。(手首が)変な方向に曲がっていた」。手術後も靭帯(じんたい)に違和感が残り、110試合を欠場した。グラウンドから離れると、ひどく時の流れがゆっくりと感じられた。野球が自分のすべてだったことが、よく分かった。

 手首は打者の命。「早くプレーしたい気持ちが強かったが、とにかく完全に治すことが先決だと思っていた」。ウナギの骨が回復にいいと聞けば、必死でポリポリ食べた。けがと戦う松井をニューヨークのファンは忘れていなかった。背番号55のユニホームを着て応援していたファンの一人、ルディ・チャールズさん(57)は「カムバックを見たくて球場に来た。骨折で落胆していたと思うが、そんな時もチームに貢献することを考えていた松井を誇りに思う。チャンスに強く、打点を稼げる松井は、ヤンキースにとって絶対に必要な戦力だ」と興奮していた。

 復帰初打席から4連続安打。「今まで以上のパフォーマンスが出せるぐらいの気持ちで、今年中に戻ってきたい」と口にしていた松井が、ついにどん底からはい上がった。【高橋秀明】

【2006/9/13 毎日新聞】
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