【ヤンキース4―1デビルレイズ】ヤンキースの王建民(ワン・チェンミン)投手(26)は22日(日本時間23日)、セントピーターズバーグでのデビルレイズ戦に先発し7回1失点。アジア出身選手によるメジャーでの1シーズン最多に並ぶ18勝目をマークした。最多勝争いでもリーグトップに並び、安定感はいまやチームNo.1。10月3日からのポストシーズンで開幕投手を務める可能性も出てきた。
 現パドレスの朴賛浩(パク・チャンホ=韓国)がドジャース時代の00年に挙げたアジア人投手の最多勝記録に並んだ王建民は「素晴らしい選手と同じ18勝ができて凄くうれしい。これからも頑張らないと」と素直に喜びを口にした。
 初回、バルデリに先頭打者アーチを浴びたが、持ち味の冷静さとシンカーの切れは失わなかった。シンを外して内野ゴロの山を築く本来の投球に比べ飛球やライナーも多かったが、7回1失点で逆転勝利を呼び込んだ。
 最多勝やアジア人初のサイ・ヤング賞も期待されるが「一番重要なのは世界一になること」と個人の栄誉に関心はない。それでもトーリ監督の信頼は厚く「プレーオフ1、2戦のどちらかで先発させる」と明言。ベテランのランディ・ジョンソンやムシーナを押しのけ、開幕投手を任される可能性は高い。
 王建民も「次の目標はプレーオフ。心の準備はできている」。地元・台湾の取材陣を前に「米メディアはいいのかな…」と、苦手な英語での取材を受けていないことを気にかけるほど自覚が芽生えている。
【2006/9/24 スポニチ大阪】

 【ニューヨーク高橋秀明】 ◇26歳王建民、アジア人最多記録に並ぶ

 台湾出身の26歳、ヤンキースの王建民が、アジア人投手としてシーズン最多タイの18勝を記録した。プロバスケットボール、NBAでは姚明(ロケッツ)を取材する中国メディアが目立つが、大リーグでは王の活躍を受けて、台湾メディアが勢力を拡大している。メディアの競争も激しく、この日はカメラ5台が王の快挙を追いかけた。

 右肩を故障する前は速球で押すタイプだったが、今はシンカーを低めに集めてゴロの山を築かせる。ゴロが少なく、フライが多い時は調子が悪い。7回を被安打6、失点1に抑えたデビルレイズ戦では、21アウトのうちゴロは九つ、飛球は五つと本来の姿だった。

 今季18勝6敗とし、朴賛浩のアジア人シーズン最多勝記録に並び、さらにサンタナ(ツインズ)と並ぶハーラートップタイに。だが、「最多勝は考えていない。重要なのは世界一になること。心の準備はできている」と過熱する報道陣とは対照的に控え目な口ぶりだ。既にプレーオフ進出を決めているヤンキースにとって、物静かな背番号40が、ワールドチャンピオン奪還のカギを握っている。【高橋秀明】

【2006/9/23 毎日新聞】
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