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【アーリントン(米テキサス州)30日時事】米大リーグ、マリナーズのイチロー外野手が29日に日米通算3000安打を達成したことを受け、チームの本拠地シアトルの地元紙など米メディアが同選手の偉業を伝えた。

 シアトル・タイムズ紙(電子版)は、今回の記録がオリックス時代の安打を含むことから、イチローの金字塔の意義について紹介。メジャーで歴代最多の5714三振を奪い、レンジャーズの球団社長を務めるノーラン・ライアン氏の「3000本は3000本。素晴らしい記録で、どの国で打ったかなどは関係ない」との談話を掲載した。

 シアトル・ポスト・インテリジェンサー紙(電子版)も、イチローの通算打撃成績表を載せるなど大きなスペースを割いた。34歳での3000本は「球聖」と評されたタイ・カッブと同じ。「時代、国は違うが、イチローはカッブから記録を一つ奪った」と報じた。

 イチローは節目の記録達成から一夜明けた30日、普段と変わらない表情で当地でのレンジャーズ戦に臨んだ。
 

【MLB】イチローの3000安打を米全国紙も詳報

 29日のレンジャーズ戦でマリナーズのイチロー外野手が日米通算3000本安打を達成した。この大記録を30日付の全国紙USAトゥデーは「イチローがミスター3000に」という記事で詳しく伝えている。

 まず記録はルイス・メンドーサ投手の初球を安打して、達成された事を紹介。さらに一塁に立つイチローに対し敵地テキサスのファンから祝福し、さらにスコアボードに記録達成を伝えるメッセージが表示されると、イチローがヘルメットをとってそれに応えたことをリポートしている。またマリナーズの8年間1224試合で1722本のヒットを放ったことも記している。

 それだけではない、日本のオリックス時代に9年間951試合で1278安打だったことも紹介しているのだが、“日本のプロ野球で3000本安打を記録しているのが3085本のイサオ・ハリモトただ1人だ”と張本氏の記録に言及しているのには少し驚いた。こうして日本の記録にまで触れてくれるのは日本のプロ野球のことを認めてくれたようで嬉しいものである。

 ただこの記事でも触れられているのだが、MLBでは合計27人が3000本安打を達成している。素晴らしくはあるがまだMLB記録を塗り替えるような記録ではないのだ。そのためか、この記事自体日本のように1面扱いだったり、特集記事だったりはせず、アメリカン・リーグの出来事を伝える面の1記事という扱いだった。

 しかも同じ面のゲーム短信ではイチローがオールスター以後調子を落としていることを紹介したりしている。紙面の整合性のなさにちょっと苦笑いしてしまったが、同時にやはりマリナーズの顔はイチローと、全米レベルで定着していることを改めて認識した。

 ちなみにここニューヨーク地元メディアでどんな報道がされたか気になるところだが、試合時間の時差、さらに地元チームが絡まない試合で記者などを送っていないため、いずれも30日付け紙面では間に合っていなかった。時差がある広い国土、多いチーム数などでどうしても地方メディアではカバーしきれない面がある。そのことがよくわかる状況といえよう。

 それだけに全米メディアでとりあげられるということはすごいことといえ、イチローはやはりそんな存在なのである。


MLBコラム渡辺史敏「from New York」

渡辺史敏(わたなべ・ふみとし)
 1964年生まれ。兵庫県出身。ニューヨーク在住。明大卒業後、科学雑誌出版社勤務を経て、95年フリーランスとして渡米。 現在はMLBをはじめ、NFL、サッカーなどの米プロスポーツと、インターネット、TV、コンピュータなどのIT分野で取材・執筆活動を行っている。 独自の視点で米国メディアの報道を分析、スポーツビジネスのレポートなどに定評がある。

【2008/7/31 Nikkansports】
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