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多彩なフォークで好投へ

 オリオールズ入りが確定的となり、夢の大リーグ入りが実現することになった上原浩治投手(33、巨人からFA)。しかし、移籍先は大リーグ屈指の低迷球団である上、所属地区は強豪ぞろいのア・リーグ東地区。球威では大リーガーに及ばない上原にとっては、その経験と技術だけが頼り。“雑草魂”が試される大いなる挑戦となる。

 現在の大リーグの先発投手のレベルは、大ざっぱに言って155キロ前後の速球に、決め球となる変化球を加えて100球を投げ切るのがトップクラス。中堅どころでも速球が145キロ以下の投手は少なく、140キロ前後の上原は最も球威のない先発投手の部類に入る。

 加えて高額選手の放出でチーム力は地に落ちている上、主力選手のFA年に当たっていることから野手陣の今季編成も不透明。援護射撃による勝ち星も期待薄で、マウンド上で孤軍奮闘を強いられることは必至だ。

 ボルティモアの本拠地球場カムデンヤーズは煉瓦造りの建造物を基調にした人気球場だが、周囲の治安は決してよくはない。近くに日本人コミュニティーも発達しておらず、食材の調達も難しい。夏は強烈な暑さに見舞われ、中4日で32試合程度を1シーズン投げ切るのは若手でも至難の業だ。昨季もシーズン当初から先発ローテーションが破綻し、登板する投手が次々と打ち込まれた。

 しかも、同地区の相手はヤンキース、レッドソックス、レイズという超重量打線。上原の球威だと外角の直球系でストライクを取りにいくのが最も危険で、外角、外角、1球遊んで外角という最も基本的な投球パターンが成立しづらい。よほど技巧を凝らしてカウントを整えないと、決め球のフォークを投げる前に痛打を浴びることになる。

 ただ、大リーグの打者はフォークに弱い。野茂英雄投手の活躍はもちろんだが、レッドソックス・岡島秀樹投手もフォーク(本人はチェンジアップと呼ぶ)で好投を続けている。その使い手である上原は、多彩なフォークを投じる技術と制球力、豊富なマウンド経験で好投につなげる可能性はある。

 地元紙ボルティモア・サン紙は「リスクのない契約だと思う。上原は先発2番手の予定だが、その責任を果たせるどうかは誰にもわからない。ア・リーグ東地区で投げるわけだから。ただストライクを先行させることから大舞台に強い投手だ。もし先発に適応できなければ、中継ぎにいつでも動かせる。最悪の場合、来年は敗戦処理にも使える」などと報じている。

 オリオールズ入りは、長年夢に描いていた大リーグ生活とは大幅に趣を異にすることになるかもしれない。だが、もう一度自身の“雑草魂”を試すには絶好の機会でもある。


【2009/1/8 ZAKZAK】
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