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【7月27日】2003年(平15) 

 【西武4-1近鉄】西武が3回までに4点を入れ、中盤はこう着状態。そんなベタナギ状態の大阪ドームで“珍プレー”は起きた。

 5回、2死三塁で近鉄の6番礒部公一右翼手は、ファウルで粘ってカウント2-3まで持ち込んだ。西武のマウンドはここまで5勝の張誌家(チャン・ズージャ)投手。その7球目、佐藤純一球審は「ボール」の判定を下した。これで四球、2死一、三塁になる、はずだった。

 が、佐藤球審は四球を告げなかった。それどころか、礒部も歩こうとはせず、一塁側の近鉄ベンチもリアクションを起こそうとはしなかった。西武ベンチは、当然“もうけた”わけだから、言うはずもない。カウント“2-4”。ドーム内にはなんだかおかしい…という雰囲気が漂いながらも、試合は続けられた。

 8球目。張のストレートを礒部のバットがミートした。打球は和田一浩左翼手の前に落ちるタイムリーヒット。三塁から川口憲史外野手が生還し、近鉄は1点を返した。

 なぜ、カウント“2-4”に誰もヘンだとは思わなかったのか?最大の原因はスコアボードの誤表示だった。初球ストライクの後の2球目の判定はボール。ところが、これが電光掲示板に表示されず、そのまま試合が進んでしまった。

 佐藤球審もアンパイアとしてはミスと言わざるを得ない失態だった。「カウント2-2の時に、スコアボードを見たら2-1になっていた。おかしいな、と思ったが、周囲から抗議もなく掲示板を信じた」。疑問を感じた時に、確認を怠ったことはやはり問題。審判としては怠慢と指摘されても言い訳はできないものだった。

 ところで、当の選手は気がついていなかったのか。安打1本打点1を稼いだ礒部は「四球?そうかなって思っていたけど…。まあ、いいじゃないですか」と、試合後は言葉少なに逃げるようにロッカールームへ消えていった。

 投げていた張はというと「気づいてましたよ。でも、打ち取れるかもしれないから黙ってました。打たれちゃいましたけどね」。この試合、8回を投げ5安打1失点の張。最終回は3点差でセーブの付く場面だったことで、守護神豊田清投手にマウンドを譲った。豊田は難なく25セーブ目をマークしたが、無得点に抑えていれば、張のシャットアウトゲームになったかもしれない一戦だった。

 そこはこだわりのない張。1カ月ぶりの白星とあって「勝てばいいです」と笑顔で球場を後にした。

 なんとも不思議な真夏の珍プレーだった。


【2009/7/27 スポニチ】
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