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【8月8日】2007年(平19) 

 【阪神15-2巨人】4回まで巨人先発の木佐貫洋投手の前に4安打無得点、3連続2度を含む8つの三振を喫した阪神が5回、人が変わったように牙をむいた。

 突破口を開いたのは先発のボーグルソン投手。右前打で出塁すると、四球を挟んで4連打。4点を奪い木佐貫をKOした。5回は6安打6点のビッグイニング。6回にも2点を入れ、試合を決めるとますます打線は活気づいた。

 8回、かつての中日のエース野口茂樹投手が登板すると、これを血祭りにし、代わった吉武慎太郎投手とともに計7安打7得点。アンディ・シーツ三塁手、矢野輝弘捕手、関本健太郎二塁手の3本塁打が飛び出し、真夏の東京ドームのタイガースファンは黄色いメガホンを振りまくり、虎戦士のヒットパレードに酔いしれた。

 終わってみれば22安打15得点の猛爆。22安打は76年4月18日に大洋2回戦(金沢)で記録した、チーム最多の24安打には及ばないものの、02年5月3日の広島5回戦(広島)以来、5年ぶりの球団3位タイの記録となった。

 これが対巨人戦の20安打以上となると、さかのぼること61年前、太平洋戦争終結から1年もたっていない1946年(昭21)7月25日、西宮球場で23安打15点をマークして以来の打線爆発だった。

 呉昌征、金田正泰、土井垣武、本堂屋保次、そして藤村富美男…。当時の阪神の面々をみると、戦前の職業野球の流れを汲む猛者ばかり。まだ別当薫が加わっていなかったが、阪神“ダイナマイト打線”の初期のメンバーが名を連ねる、強力打線だった。

 ライバル巨人相手の大勝は、他球団のそれより2倍3倍の盛り上がりをみせる。本塁打2本計5打点の矢野は「きょうは嫁さんの誕生日。いい記念になった」と上機嫌。3番シーツ、4番金本知憲左翼手はそれぞれ4安打ずつ。5番林威助右翼手モ3安打とクリーンアップが揃って猛打賞は球団史上初めてのことだった。

 「ええんじゃない。巨人相手やもん。盛り上がるで」と金本。阪神はオールスター終了後から11勝4敗となり、クライマックスシリーズ進出が黄色信号だったが、この真夏の猛追で3位横浜を追い落とし、最後までこの位置をキープ。日本シリーズ出場に望みをつないだシーズンの中で、重要なポイントとなった伝統の一戦だった。


【2009/8/8 スポニチ】
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