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【10月28日】1998年(平10)

 111対65。結果は予想より大差の46票差。東京六大学が久々に輩出したスーパールーキー、明大出身の中日・川上憲伸投手と慶大出身の巨人・高橋由伸外野手との新人王争いは川上に軍配が上がった。

 26試合に登板し14勝6敗。防御2・57はチームの先輩野口茂樹投手(同2・34)に次いで、奪三振124もヤクルト・伊藤智仁投手(同154)に次いでそれぞれ2位。完封数はリーグ最多のヤクルト・川崎憲二郎投手と同じ3。スライダーとカットボールを武器に「新人王を取る」と宣言してシーズンに突入したが、堂々のマウンドさばきはルーキーらしからぬものがあった。

 秋季キャンプ中の浜松で朗報を聞いた川上は「さらにやる気が出ました。来年は優勝に貢献したい」と笑顔。翌年、8勝9敗と振るわず、よく言われる“2年目のジンクス”の言葉通りになったが、ドラゴンズは開幕ダッシュに成功し、11年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした。

 その川上に22打数1安打(1本塁打)と押さえ込まれたのが、高橋の新人王レースの敗因だったといえる。思わぬ大差の結果に高橋は「最初から憲伸が取ると思っていたから、別に何とも思わない。大体僕は最初から新人王を取りたいなんて一言も言っていない」と、ご機嫌ななめだった。

 126試合に出場し、打率3割ジャストで打撃成績8位。本塁打19本も六大学新記録23本の記録を樹立した打者の実力を発揮したものだった。巨人の新人打者での3割突破は、当時“ゴールデンボーイ”と呼ばれた長嶋茂雄三塁手以来、40年ぶりの快挙。川上に引けをとらない成績に、長嶋監督自身もがっかり。無念そうにはこんな提案をした。

 「相撲でも殊勲賞、敢闘賞と2人出るからね。もう1人何とかならないかな」。

 98年は阪神の新人、坪井智哉外野手も打率3割2分7厘をマーク。打撃成績は横浜・鈴木尚典外野手(3割3分7厘)、広島・前田智徳外野手(3割3分5厘)に次いで3位と健闘。広島のルーキー、小林幹英投手も、新人としては初の4月の月間MVPを受賞するなど、54試合で9勝6敗18セーブと好成績を残した。坪井には12票、小林にも5票が入った。例年なら4人とも間違いなく新人王というハイレベルな争いだった。

【2008/11/21 スポニチ】
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