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<阪神4-2横浜>◇4日◇京セラドーム大阪

主役は「1番浜中」でも「一塁スペンサー、三塁シーツ」でもなかった。奇策を用いた打線は「不発」に終わったが、林の豪快弾でスカッと連敗ストップだ。7回代打で登場した林が、京セラドーム大阪の5階席に3号ソロを打ち込んだ。尊敬するヤンキース松井のような、打った瞬間に分かる130メートル弾。リードを2点に広げ、勝利をたぐり寄せた。今季の本塁打はすべて同ドームで放っており、なにわの虎党を大いに喜ばせた。

本塁打が出れば勝利を確信できる場面で、代打林が豪快弾を架けた。1点リードした7回、横浜木塚の2球目をたたく。追い込まれる前のカウント1-0で勝負。真ん中速球をとらえると、打球は滞空時間の長い軌跡を描き、右翼5階席に吸い込まれた。

「やっぱり気持ちいいです! あんまり今日みたいなホームランは打ったことがないですね。リキまずに打席に入って、自分のスイングをした結果です」

生涯一の感触に自分でも驚く。遠く、高く飛んだ130メートル弾こそ、追い求めている打球でもあった。1軍に定着した今年5月。大きな夢を語ったことがある。

「現役のバッターだったら、ヤンキースの松井さんみたいになりたい。チームに欠かせない存在というかね、ホームランだけじゃなく、打率も残す。確実性がある打者だからね。とにかく、チームのみんなに頼られる打者になりたいんだ」

打線は5回に19イニングぶりに得点を重ねて、逆転に成功した。だが、鳥谷の適時打以外は先発那須野の「自滅」によるもの。林の豪快な3号ソロは、よどんだムードを一変させ、横浜の追撃意欲をなえさせた。まさに、目標とする松井のアーチのような重量感があった。

「チーム状態もこんな感じだった。貢献できて、自分もうれしいです」

プロ初の代打アーチだ。代打起用が多いという境遇が、徹底した好球必打につながっている。まだ代打の難しさに悩んでいた4月下旬。岡田監督に「代打はとにかく球を絞って狙っていけ」とアドバイスされたこともある。6月には2軍戦で調整も重ねた。1球、1打席を大切にする日々を重ね、確実に実力をみがいてきた。

京セラドームでは、スタメン出場した6月17日のオリックス戦でも2連発。「球はよく見えるんですけど、あまり考えずにね」。プラス思考も林を後押ししたようだ。岡田監督が感謝の言葉を並べる。

「もう1点取ればというところで出た1発。8、9回に勝ちパターンで行けるから。ここで2本打って、いいイメージを持ってるよね」

チームは横浜に今季9勝目を挙げ、連敗を「2」で止めた。林がスケールアップするほど、打線の底力は増してゆく。【酒井俊作】

【2006/7/5 大阪Nikkansports】
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