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 “北の怪物”の新天地は仙台に決まった。今ドラフトの目玉・駒大苫小牧の田中将大投手(17)は横浜、楽天、オリックス、日本ハムの4球団が1巡目で入札。抽選の結果、楽天が交渉権を獲得した。田中は「新しいスタート地点が楽天に決まった」と入団に前向き。「目標は開幕1軍」と球団創設から2年連続最下位球団のエース候補として、大きく羽ばたいていく。

 表情を変えることはなかった。ドラフトの模様が生中継されたテレビを見つめる。次々に1巡目で名前が挙がる。横浜、楽天、オリックス、日本ハムの競合の末、楽天が当たりくじを引き当てた。「チームはどこであろうと自分の野球は変わらない。新しいスタートが楽天に決まったということです」と力強く話した田中。入団に前向きな姿勢を見せた。

 新たな活躍の舞台は仙台に決まった。球団創設2年目のチーム。今年も2年連続の最下位が決定している。「まだ、できて何年もたっていない球団なので、そういう球団の中で歴史を刻みたい。本当の意味での挑戦者になれる」と決意表明した。3年前、遠く兵庫から津軽海峡を渡り北海道へやってきた。常に挑戦をし続けてきた怪物にとって、楽天はうってつけのチームかもしれない。

 楽天の名前を聞いて一番最初に野村克也監督(71)の顔が浮かんできた。すでに今年6月に著書「ノムラノート」を読破している。「いろいろな考え方が載っていて面白い本だった。自分も細かい野球は好き。監督は多くの知識を持っている。聞くのが楽しみです」と54歳離れた“師匠”への弟子入りも志願した。

 右腕ひとつで勝負する覚悟はできている。「目標は高く持って開幕1軍。早く1勝を挙げたい」野村監督は高校生に関しては長い目で育てる方針だが、初めて預かる超高校級選手。特別な思いを抱いてもおかしくはない。昨年は、新人の片山をキャンプで一度、1軍に呼び、テストを行っている。田中もそこで合格すれば、開幕1軍も見えてくる。オープン戦で実績をあげれば、2リーグ制後4人目で、1956年の東映(現日本ハム)・牧野伸(武生高)以来、実に51年ぶりとなる高卒新人開幕投手も夢ではない。

 楽天の島田球団社長は「背番号を含め、最高条件で迎えたい」と話している。田中は背番号について「どんな番号が空いているか分からないけど、投手らしい番号がいい」と話した。「同じ世代の選手には負けたくない」と心はすでにプロでの戦いに向いている。150キロの直球と高速スライダーを武器に最下位チームの救世主に。そして歴史を作っていく。

 ◆将大に聞く

 ―待っているときの緊張は。

 「甲子園の決勝よりありました。心臓が飛び出るくらい」

 ―4球団の競合に。

 「光栄だと思う。自分のやってきたことが結果につながって良かった」

 ―意中の球団はあったのか。

 「特になかった。どこから指名されても自分を試すつもりだった」

 ―仙台の印象は。

 「…牛タン」

 ―先発や抑えの希望は?

 「チームで任されたところならどこでも。勝ちにつなげられる投手になりたい」

 ―目標とする選手は?

 「選手はいないけれど、ファンの皆さんに夢や希望を与えられる選手になりたいです」

 ―甲子園決勝で投げ合った斎藤君(早実)に一言。

 「同じ世代の選手には負けたくない。しっかり力をつけて(プロで)投げ合って今度は勝ちたい」

【2006/9/26 スポーツ報知】
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