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プロ野球デキゴトロジー/9月26日
代打逆転サヨナラ満塁優勝決定弾!近鉄が球史に残る劇的優勝【2001年9月26日】

 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は9月26日だ。

「これはもしかしたら……」

 9回裏、先頭の六番・吉岡雄二が出塁したとき、近鉄・梨田昌孝監督はそう感じたという。近鉄は2対5とオリックスに3点のリードを許していた。

 これはたぶん梨田監督だけではない。この年の近鉄は選手もファンも“あきらめが悪かった”。楽天的というわけではなく、何度も何度も奇跡のような逆転勝利を飾っていたからだ。中村紀洋、ローズらを擁する自慢のいてまえ打線が、それだけ猛威を振るっていたことに加え、投手陣がモロかったからでもある。

 この日も、そのまま無死満塁とし、打席には代打・北川博敏が入る。阪神から移籍1年目、サヨナラ打を連発し、自らヘルメットに「サヨナラ男」のステッカーを貼っていた男だ。敵将・仰木彬監督も「やばいかな」と感じ、次の投手を考えて始めていたというが、もう遅い……。

 オリックス・大久保勝信が2ストライク1ボールから投じたスライダーにバット一閃。打球はレフトスタンドへ飛び込んだ。代打・逆転・サヨナラ・満塁・本塁打だ。

 2001年9月26日、大阪ドーム。2年連続最下位だった近鉄が、これ以上ない劇的な展開で12年ぶり、そして結局最後となる優勝を飾った日だ。

 梨田監督は、いつものように穏やかな笑みを浮かべ、「夢のような優勝、素晴らしい仲間たちと優勝できて本当にうれしい」と語った。二軍監督を経て00年に一軍監督就任。「監督は手助けできても手出しはできない」が口癖。放任主義の下で、いてまえの男たちは伸び伸びと躍動し、頂点をつかんだ。ただし、その笑顔の奥には、現役時代の恩師・西本幸雄氏が驚いたほどの頑固さと負けん気の強さがあった。だからこそ、腹をくくって、あれだけ攻撃的な野球ができたとも言える。梨田監督もまた、いてまえの血を受け継ぐ、荒ぶる男だった。

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