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【9月26日】2001年(平13) 

 【近鉄6-5オリックス】リーグ結成から半世紀以上、パ・リーグでは1度もなかった前年最下位からのリーグ優勝。近鉄が21世紀最初のシーズンで初めて実現した。

 防御率も4・98とリーグ最低での優勝も前代未聞。投手陣が炎上しても、それ以上に火を噴いた“いてまえ打線”が211本塁打748点をたたき出してのV。12年ぶりの栄冠を決めた試合は、それを象徴した一戦だった。

 大阪ドーム(現京セラドーム大阪)でのオリックス26回戦9回裏、2-5と3点差を追う近鉄は無死満塁のチャンスを迎えた。9番・古久保健二捕手の打順で、梨田昌孝監督は動いた。「アイツしかいない。今年のアイツは何かをやる」。

 ヘルメットのひさしに「サヨナラ男」のシールを貼った、代打・北川博敏捕手が右打席に入った。阪神から移籍1年目。5月27日、29歳の誕生日に同じ大阪ドーム、相手も同じオリックスの11回戦でプロ初のサヨナラ打を放った。2日前にも西武・松坂大輔投手から代打本塁打。だから落ち着いて打席に入ることができた。

 マウンドにはオリックスの抑え・大久保勝信投手。カウント2-1と追い込んだ。「真っ直ぐ狙いのような気がした。スライダーで打ち取ろうと思った」と大久保。4球目。スライダーが真ん中に入った。

 94年、阪神に大型捕手として期待されて入団しながら、結果が出ず焦ってばかりいた背番号46は「決めることしか頭になかった」。甘い球を逃すはずがない。バット一閃、打球は美しい放物線を描き左中間スタンドへ。まるで劇画のような代打逆転サヨナラ満塁ホームラン。しかも3点差をひっくり返す“つり銭なし”の一撃は、優勝決定試合の決まり手としては史上初となった。

 もうその先は何が何だが、北川に聞いても、近鉄ナインに聞いても「よく覚えていない」。生還した北川と、主砲・タフィー・ローズ外野手がまず抱き合った後、猛牛戦士は誰構わず抱擁し、涙を流した。

 かつて近鉄を優勝に導いた仰木彬オリックス監督の前で、梨田監督が宙に舞った。「きょうは酔いしれたい」。普段は言葉を選びながら話す、48歳の指揮官はしみじみと本音を漏らした。



【2007/9/26 スポニチ】
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