脅威の追い上げを見せるが……
 ペナントレースも大詰めの9月、セ・リーグ2位の阪神は9連勝を含め17勝4敗と絶好調。月間勝率は8割1分をマークした。首位・中日を猛追する姿は、1996年の長嶋巨人が最大11.5ゲーム差を逆転し優勝を成し遂げた「メークドラマ」を思い出させるが、その時の巨人でさえ9-10月勝率はちょうど7割。これに首位を独走した広島が後半戦に自滅したことも重なった。

 だが、ことしの阪神の場合、8割超えの勝率で追い上げてはいるものの、中日も着実に勝ち星を積み重ね落ちてこない。「21世紀版メークドラマ」を完結しようにも、手詰まり感はつのるばかりだ。

9月の猛追は投手力のたまもの
 9月の阪神の奇跡的な成績は、連勝の鉄則である「先制点を奪うこと」、「先制試合に勝利すること」がしっかりできていたからといえる。

 阪神が先制点を奪った試合は、8月の26試合中18試合に及んだものの、8勝10敗と負け越し。藤川球児が一時離脱した精神的ダメージは大きく、8月チーム防御率4.77は12球団中11位、救援のチーム防御率5.57が12球団ワーストと、投手成績が急激に悪化した。

 だが、8月27日に藤川がチームに復帰。すると、9月のチーム防御率は両リーグトップの2.14まで回復した。9月は21試合中15試合で先制し、14勝1敗とほぼ全試合をものにしている。序盤の失点が少なく、先発陣が9月だけで14勝4敗。1-3回の被打率を2割1分9厘と徹底して抑え、相手に先制を許さない投球ができていたことが要因に挙がる。さらに、相手のイニング先頭打者の出塁をよく抑えたが、出塁を許した場合でも失点確率を8月の47パーセントから9月は31パーセントまで改善。中日の56パーセントと比べると、はるかに低い数字を示した。ディフェンスの意識を改革した勝利である。

残り7戦7勝で逆転Vを期待
 一方、中日の9月成績は14勝9敗と、勝率6割以上をしっかりキープ。9月18日にはプロ初先発となる吉見一起を起用し、新戦力育成に目を向けられるほど余裕がある。中日が残り12試合を6勝6敗の五分、勝率6割3厘(シーズン終了時、85勝56敗5分)で終えた場合、阪神は残り7試合を7連勝なら逆転優勝の芽があるものの、1敗でもしようものなら万事休す。阪神にとって逆転優勝への道は容易ではない。

 しかし、藤川の復帰で投手陣が息を吹き返したように、打線では今岡誠が9月29日に代打で復帰し、満塁からいきなり3点タイムリーを放つ活躍を見せた。これを起爆材料として、7連勝で「メークドラマ」を再現してほしいものだ。

<了>
2006年10月02日 小野俊哉

■小野俊哉/Toshiya Ono
岡山県出身。早大卒。スポーツデータの配信サービスを行うスポーツ・アクセス代表取締役。プロ野球の大物OBを迎えてのトークライブ『白球伝説あの時、あの瞬間~未来へ繋ぐ』を2006年から開催(1回目は2月5日古葉竹識・元広島カープ監督)。詳しくはHP『プロ野球plus!』から。HPでは無料会員向けにカラーグラフ、データを公開し、新しいプロ野球の楽しみ方の提案を続けている。『プロ野球マスターズリーグ』、『茨城ゴールデン・ゴールズ』へ公式記録を配給。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/column/200610/at00010796.html
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