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 阪神・林威助(リン・ウェイツゥ)外野手(28)が沖縄・宜野座キャンプ第1クール最終日の4日、2度目の特打を行い、123スイングで26本のサク越えを披露した。昨秋キャンプで取り組んだ課題を克服するスイングに、広沢克実打撃コーチ(44)は、「問題ない」と“免許皆伝”を示唆。シ烈な外野争いの中、存在感を見せた。





 飛躍への宿題を、さっそく第1クールでクリアした。まずは虎の右翼の座。その先にはアニキの、ゴジラの背中がある。タテジマ育ちの“アジアの大砲”林が、快晴の日曜日の空高く、爽快な放物線を描いてみせた。

 「センター方向に打つように意識しています。重心を後ろに残すと、自然と(打球は)上がる。飛ばす意識? 下半身をうまく使えば、勝手に飛んでいきますから」

 コメントからにじみ出る手応え。第1クールで早くも2度目の特打。ちょうど疲れが出てくるキャンプ4日目。周囲の打者の快音が鳴りを潜める中で、この男は元気だ。逆風を突き、123スイングで26発。その姿に誰より目尻を下げたのが、大砲育成を託される広沢コーチだった。

 「本当に手を抜かないし、よく振っている。飛ばす力は最高。目立つでしょ。素晴らしいパフォーマンスをしている」

 絶賛には理由がある。昨秋キャンプで指摘した、肩と腰が同時に回る欠点。体が流れて手首も早く返ってしまい、変化球を引っ掛けていた。「体が回転を始めるのが早い。ストライクかボールか判断してから回転しなさい、と」と同コーチ。わかりやすく言えば、ボール球を見逃す時、体が開き、バットが動き出してから止まる姿はダメ。打つ!!と判断するまで、体はスクエア(平衡)を保たなくてはならない。当然、スイングの速さが大前提だが、大打者は必ず出来ているポイントだ。

 「金本も松井秀(ヤンキース)もイチロー(マリナーズ)もそう。10球に1回くらい(早く回転し始めること)はあるが、打撃練習では出ない。まだ林は練習で1、2回出ちゃうけど。秋では、ほとんど出てたからな」

 同コーチはサク越えうんぬんよりも、課題をクリアしたスイングに合格点。「秋より数段いい。問題ないくらい」と“免許皆伝”すら示唆。金本、松井秀ら左の大砲の後を追えるだけの資質を十分、感じ取っている。

 浜中、桧山と争う右翼だけでなく、中堅、一塁も練習し、貪欲にチャンスを求める林。腰痛で離脱した赤星も含めて、誰もがウカウカしていられないのでは? と思わせる存在感がある。

 「体は大丈夫。いい感じで打てていますね」

 充実の春、開き始めた大輪の花の匂いが、宜野座に漂ってきた。


(堀啓介)



★実戦トレで対応

 オフも台湾に帰国し、WBCの代表選手らと実戦に近い自主トレを重ねてきた林。グリップが早く返ってしまうのを防ぐため、グリップの太いタイプのバットもとり入れるなど、弱点の変化球の対応に努めている。「投手(の生きた球)だと対応できないこともあるんで。あとは試合でどれだけ通用するか」北京五輪では、日本のライバルとなる台湾。林の成長はある意味“脅威”。とにかく目の離せない打者だ。


★阪神の外野事情

 岡田構想では左翼・金本(打順は4番)、中堅・赤星(同1番)、右翼・浜中(同6番)-が基本線。この3人を林、代打の切り札として桧山が追う展開だ。“逆転”の可能性のあるのは右翼だが、昨年のように赤星の不調が続けば、宮崎オーナーが若手の育成を岡田監督に求めていることもあり、林の中堅抜てきの可能性もある。また赤松が代走、桜井が代打要員として一軍昇格を目指している。

【2007/2/5 サンスポ.COM】
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