<阪神3-1ソフトバンク>◇10日◇甲子園
虎の期待値NO・1男が派手な仕事をやってのけた。延長10回1死二塁。リンちゃんが右翼席に、9号サヨナラ2ランをたたきこんだ。サヨナラ弾はプロ初。雷雨による中断、天敵杉内に8回まで抑え込まれた打線。様々なウップンを一撃で振り払った。開幕から湿りっぱなしの打線の中で、林とアニキだけは常にフルスイングで、虎党に夢を見させてくれている。スター誕生-、後から振り返れば、この試合はそんな意味合いを持つのかもしれない。
鳥肌が立った。いつもは冷静沈着な林が、我を忘れた。高々と舞う打球は右翼ポール際へ。思わず右腕を天に突き上げた。これがドラマだ。サヨナラだ。延長10回1死二塁。ソフトバンク篠原の甘いスライダーを振り抜き、豪雨で濡れそぼった阪神ファンに、最高のプレゼントを贈った。
「こすったけど、振り切っていましたから。風も良かったですし。興奮しました。初めてだから…。練習試合は別にして(サヨナラ弾は)公式戦ではないです」
9号2ランは、プロ入り前も含めて、人生初のサヨナラ本塁打。サヨナラ打もプロ初だ。
ただし、打席では平常心を保っていた。この日は杉内に封じられ、4打数無安打。「前の打席でも全然…。差し込まれたりタイミングが合わなかったり…。何とか自分の打撃を取り戻そうとしました」。準備は怠らない。延長10回の打席に入る直前。2番手篠原が投球を始めると、一塁側ベンチ内でバットを持って、間合いを図った。
「馬原が来ると思った。左が来て1球ファウルして…。曲がりが杉内より大きかったんです。ドロンとしたスライダーでね、これならバットに当てられるかなって」
軌道を脳裏に焼きつけ、課題だったサウスポーから豪快な一撃を放った。降雨中断があっても、集中力は切らさなかった。プレーボールから4時間20分後の劇的な結末。岡田監督も「雨とかいろいろあった試合だけど、最後によく林が決めてくれた。左投手を最近打てなかったけど、レギュラーを確保しての打率、この本塁打ですし。これから左も関係なく、どんどん打って欲しい」と期待をこめた。
虎風荘の自室。林の本棚には、手あかにまみれた1冊の日本語辞書が置かれている。台湾から海を渡った11年前。福岡・柳川高時代に、蛍光ペンでマークしながらコツコツと異国語を覚えた。「いまはほとんど見ることはないんだけどね」。ページをめくる必要がなくても、片隅に置いている。台湾の野球少年は、今や日本のプロ野球でクリーンアップを打つ。環境は激変したが、初心は忘れない。辞書が視界に入ると、気持ちは自然と高校生に戻る。
お立ち台では情感たっぷりに声を弾ませた。「いやあ、良かったですねえ! あきらめずに最後まで粘るという気持ちが、皆さんにあった。(試合を)やれて良かったなあ…」
甲子園4連戦は、8日のオリックス戦につぐサヨナラ勝ち。ネバー・ギブアップ。この姿勢を、林が見事なまでに体現した。【酒井俊作】
[2007年6月11日10時13分 nikkansports.com紙面から]
虎の期待値NO・1男が派手な仕事をやってのけた。延長10回1死二塁。リンちゃんが右翼席に、9号サヨナラ2ランをたたきこんだ。サヨナラ弾はプロ初。雷雨による中断、天敵杉内に8回まで抑え込まれた打線。様々なウップンを一撃で振り払った。開幕から湿りっぱなしの打線の中で、林とアニキだけは常にフルスイングで、虎党に夢を見させてくれている。スター誕生-、後から振り返れば、この試合はそんな意味合いを持つのかもしれない。
鳥肌が立った。いつもは冷静沈着な林が、我を忘れた。高々と舞う打球は右翼ポール際へ。思わず右腕を天に突き上げた。これがドラマだ。サヨナラだ。延長10回1死二塁。ソフトバンク篠原の甘いスライダーを振り抜き、豪雨で濡れそぼった阪神ファンに、最高のプレゼントを贈った。
「こすったけど、振り切っていましたから。風も良かったですし。興奮しました。初めてだから…。練習試合は別にして(サヨナラ弾は)公式戦ではないです」
9号2ランは、プロ入り前も含めて、人生初のサヨナラ本塁打。サヨナラ打もプロ初だ。
ただし、打席では平常心を保っていた。この日は杉内に封じられ、4打数無安打。「前の打席でも全然…。差し込まれたりタイミングが合わなかったり…。何とか自分の打撃を取り戻そうとしました」。準備は怠らない。延長10回の打席に入る直前。2番手篠原が投球を始めると、一塁側ベンチ内でバットを持って、間合いを図った。
「馬原が来ると思った。左が来て1球ファウルして…。曲がりが杉内より大きかったんです。ドロンとしたスライダーでね、これならバットに当てられるかなって」
軌道を脳裏に焼きつけ、課題だったサウスポーから豪快な一撃を放った。降雨中断があっても、集中力は切らさなかった。プレーボールから4時間20分後の劇的な結末。岡田監督も「雨とかいろいろあった試合だけど、最後によく林が決めてくれた。左投手を最近打てなかったけど、レギュラーを確保しての打率、この本塁打ですし。これから左も関係なく、どんどん打って欲しい」と期待をこめた。
虎風荘の自室。林の本棚には、手あかにまみれた1冊の日本語辞書が置かれている。台湾から海を渡った11年前。福岡・柳川高時代に、蛍光ペンでマークしながらコツコツと異国語を覚えた。「いまはほとんど見ることはないんだけどね」。ページをめくる必要がなくても、片隅に置いている。台湾の野球少年は、今や日本のプロ野球でクリーンアップを打つ。環境は激変したが、初心は忘れない。辞書が視界に入ると、気持ちは自然と高校生に戻る。
お立ち台では情感たっぷりに声を弾ませた。「いやあ、良かったですねえ! あきらめずに最後まで粘るという気持ちが、皆さんにあった。(試合を)やれて良かったなあ…」
甲子園4連戦は、8日のオリックス戦につぐサヨナラ勝ち。ネバー・ギブアップ。この姿勢を、林が見事なまでに体現した。【酒井俊作】
[2007年6月11日10時13分 nikkansports.com紙面から]
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