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ノーモア、G.Gショック! 3月5日に開幕する第2回WBCで連覇を目指すサムライジャパンにとって、“死角”が浮き彫りになってきた。それはズバリ、左翼のポジションだ。候補選手6人の中に左翼を本職とする外野手はゼロ。昨夏の北京五輪で、G.G.佐藤外野手(30)が急造左翼手を務めた結果、痛恨の3失策を犯してメダルを逃したのは記憶に新しいところだ。日本にとって“呪われたポジション”に、救世主は現れるのか。
名手の片りんさえもなかった。日本ハムの沖縄・名護キャンプで3日、WBC日本代表候補の稲葉篤紀外野手(36)が、シートノックでほとんど経験のない左翼に入った。しかし、これが見るも無残。何度もボールを後ろにそらすなど、悪戦苦闘。大きくため息をつき、「全然ッスね。しかし、ひどかった…」と苦笑するしかなかった。
日本ハムでの本来の守備位置である右翼では、2006年から3年連続でゴールデングラブ賞を受賞している名手も、左翼ではまるで別人。それもそのはず、プロ14年間で左翼を守ったのは、ヤクルト時代の00年に1試合あるだけだ。
現状で6人が選出されているWBC代表候補の外野手。25日に最終メンバーが発表されるが、実績、実力からいって、右翼にはイチロー(マリナーズ)、中堅には福留(カブス)というメジャーコンビが入ることは間違いない。残る青木(ヤクルト)、内川(横浜)、亀井(巨人)、そして稲葉で左翼のポジションを争うわけだが、いずれも本職は右翼か中堅。内川にいたっては一塁手だ。左翼のスペシャリストはいない。
たかが、左翼といえども…。さっそく、稲葉はじめ、青木、内川も各チームのキャンプで左翼守備の練習を開始したが、これが戸惑いの連続。
【頭抱え…】
この日練習を開始した稲葉は、「(右翼とは)全く違うんでね…。足をどう動かしていいのか。(打球を)捕って素早く、ができない。レフトだと(体を)回転して(内野手に)投げることが多くなると思うし。フライ(の軌道)も違いますね」と頭を抱える。
前日、ヤクルトの沖縄・浦添キャンプでノックを受けたゴールデングラブ賞3度受賞の青木も、本職の中堅との違いを実感した様子。実際、味方捕手の構えや投手の投球を正面に見られる中堅に比べて左翼は打球方向が読みにくく、「(打球の)距離感が難しい」。沖縄・宜野湾キャンプで試した内川にいたっては「実戦でどれくらい守れるか未知数」という。
名手たちが、ここまで困惑するのだから、昨夏の北京五輪でG.G.佐藤が犯したお粗末なエラーの数々は、起こるべくして起こった悲劇かもしれない。
佐藤は西武では右翼手を務め、07年は無失策、昨季もわずか1失策と安定した守備力を誇る。ところが星野ジャパンでは右翼に稲葉がいたため、06年に5試合だけ守ったことがある左翼に入ったところ、“戦犯”の憂き目にあった。
ところが、それからわずか半年後、日本代表・原監督が選んだ外野手の候補6人に、またしても本職の左翼手はいなかったのだ。最も左翼の心得がある亀井は、最終候補に残れそうにない。
北京から一転、佐藤からおはちが回ってきそうな稲葉は、改めて「(佐藤の気持ちが)分かりますね…」としみじみ。早くも“鬼門”に臨む不安感をのぞかせた。
【「慣れていくしか…」】
日の丸スポーツ史上、昨夏北京での佐藤の失策シーンは、米国W杯出場を逃した1993年サッカー日本代表の「ドーハの悲劇」に匹敵するトラウマと言っていい。3月のWBCで日本が守備についた際、左翼に打球が飛ぶたび、日本中で人々の傷跡がうずくはずだ。
「シート(ノック)では極力、レフトでやっていきたい」と意欲的な稲葉だが、対処法は「慣れていくしかない」と頼りなさげだが…。
3月、世界一を争うヒノキ舞台では、もうG.G.佐藤の悲劇は見たくない。サムライ戦士の好守で、あの忌まわしい記憶を打ち消してくれるのか。
■G.G.佐藤の悲劇 昨年8月の北京五輪で、長打力と堅守を買われてメンバー入りした佐藤だったが、本番ではエラーを頻発した。8月22日の韓国との準決勝で、4回に左前打をトンネル。さらに8回2死一塁では左中間の飛球に追いつきながら、グラブの土手に当てて落球。敗戦後、号泣した。翌23日、米国との3位決定戦でも、3回に浅い左飛をグラブに当てながらポロリ。そこから同点3ランを食らい、敗戦。メダルを逃し、佐藤は「みなさんにご迷惑をかけて…。力不足でした」と涙声でわびた。
【2009/2/4 ZAKZAK】
名手の片りんさえもなかった。日本ハムの沖縄・名護キャンプで3日、WBC日本代表候補の稲葉篤紀外野手(36)が、シートノックでほとんど経験のない左翼に入った。しかし、これが見るも無残。何度もボールを後ろにそらすなど、悪戦苦闘。大きくため息をつき、「全然ッスね。しかし、ひどかった…」と苦笑するしかなかった。
日本ハムでの本来の守備位置である右翼では、2006年から3年連続でゴールデングラブ賞を受賞している名手も、左翼ではまるで別人。それもそのはず、プロ14年間で左翼を守ったのは、ヤクルト時代の00年に1試合あるだけだ。
現状で6人が選出されているWBC代表候補の外野手。25日に最終メンバーが発表されるが、実績、実力からいって、右翼にはイチロー(マリナーズ)、中堅には福留(カブス)というメジャーコンビが入ることは間違いない。残る青木(ヤクルト)、内川(横浜)、亀井(巨人)、そして稲葉で左翼のポジションを争うわけだが、いずれも本職は右翼か中堅。内川にいたっては一塁手だ。左翼のスペシャリストはいない。
たかが、左翼といえども…。さっそく、稲葉はじめ、青木、内川も各チームのキャンプで左翼守備の練習を開始したが、これが戸惑いの連続。
【頭抱え…】
この日練習を開始した稲葉は、「(右翼とは)全く違うんでね…。足をどう動かしていいのか。(打球を)捕って素早く、ができない。レフトだと(体を)回転して(内野手に)投げることが多くなると思うし。フライ(の軌道)も違いますね」と頭を抱える。
前日、ヤクルトの沖縄・浦添キャンプでノックを受けたゴールデングラブ賞3度受賞の青木も、本職の中堅との違いを実感した様子。実際、味方捕手の構えや投手の投球を正面に見られる中堅に比べて左翼は打球方向が読みにくく、「(打球の)距離感が難しい」。沖縄・宜野湾キャンプで試した内川にいたっては「実戦でどれくらい守れるか未知数」という。
名手たちが、ここまで困惑するのだから、昨夏の北京五輪でG.G.佐藤が犯したお粗末なエラーの数々は、起こるべくして起こった悲劇かもしれない。
佐藤は西武では右翼手を務め、07年は無失策、昨季もわずか1失策と安定した守備力を誇る。ところが星野ジャパンでは右翼に稲葉がいたため、06年に5試合だけ守ったことがある左翼に入ったところ、“戦犯”の憂き目にあった。
ところが、それからわずか半年後、日本代表・原監督が選んだ外野手の候補6人に、またしても本職の左翼手はいなかったのだ。最も左翼の心得がある亀井は、最終候補に残れそうにない。
北京から一転、佐藤からおはちが回ってきそうな稲葉は、改めて「(佐藤の気持ちが)分かりますね…」としみじみ。早くも“鬼門”に臨む不安感をのぞかせた。
【「慣れていくしか…」】
日の丸スポーツ史上、昨夏北京での佐藤の失策シーンは、米国W杯出場を逃した1993年サッカー日本代表の「ドーハの悲劇」に匹敵するトラウマと言っていい。3月のWBCで日本が守備についた際、左翼に打球が飛ぶたび、日本中で人々の傷跡がうずくはずだ。
「シート(ノック)では極力、レフトでやっていきたい」と意欲的な稲葉だが、対処法は「慣れていくしかない」と頼りなさげだが…。
3月、世界一を争うヒノキ舞台では、もうG.G.佐藤の悲劇は見たくない。サムライ戦士の好守で、あの忌まわしい記憶を打ち消してくれるのか。
■G.G.佐藤の悲劇 昨年8月の北京五輪で、長打力と堅守を買われてメンバー入りした佐藤だったが、本番ではエラーを頻発した。8月22日の韓国との準決勝で、4回に左前打をトンネル。さらに8回2死一塁では左中間の飛球に追いつきながら、グラブの土手に当てて落球。敗戦後、号泣した。翌23日、米国との3位決定戦でも、3回に浅い左飛をグラブに当てながらポロリ。そこから同点3ランを食らい、敗戦。メダルを逃し、佐藤は「みなさんにご迷惑をかけて…。力不足でした」と涙声でわびた。
【2009/2/4 ZAKZAK】
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