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代表監督に続き推奨選手も“落選”

 これじゃ、知将のメンツ丸つぶれ?! WBC日本代表は22日に候補33人を最終登録28人に絞り込んだ。賛否両論飛び交う中、落選した5人の名前を見て腰を抜かしたのが、楽天・野村克也監督(73)だ。WBC連覇へ声高に推奨していた「4番・松中(ソフトバンク)」「捕手・細川(西武)」のキーマン2人が、ともに落選。自身も監督候補から“落選”した経緯があるだけに、原ジャパンへのボヤキが再び炸裂した。

 22日に日本代表・原辰徳監督(50)が「削るという作業はしていない。ピックアップした」という“思いやり”のもと、発表した代表メンバー28人。原監督流にいうなら、ピックアップされなかった5人の顔ぶれに、日本全国の居酒屋で持論を戦わせているサラリーマン諸氏も多いことだろう。

 一夜明けた23日、さっそく異論をブチあげたのが、球界最年長指揮官の野村監督だった。

 「松中は何で外れたの?」と取り囲む番記者陣に逆取材。左アキレス腱痛など体調不良が原因の1つだと聞くと「そういう問題か? そういうのは、こじつけって言うんだよ。今日はダメでも、明日よくなるかもしれんだろ」と理由になっていないとバッサリ斬った。

 おもしろいはずがない。日本の野球の発展を願うご意見番として、WBC連覇には、「4番と正捕手が鍵」と、ことあるごとに繰り返してきた。経験を買って4番に推していた松中ばかりか、リード面の成長を理由に正捕手に推していた細川までもが、ふるい落とされたのだ。

 今月19日の夕刊フジインタビューでも、1球の配球ミスが命取りになる大舞台で、リード面に難がある城島、阿部を起用する考えの原監督では「勝てない」と断言した。当然、原監督の耳にも入っていたはずなのに、完全に無視された格好だ。

 「(代わりに)誰が4番打つんだ? 稲葉? オールジャパンの4番だぞ」。確実性を重視した“つなぎの4番”に疑問を呈した。稲葉は、野村監督がヤクルト監督時代の1995年にスカウトの反対を押し切り、法大から獲得した野村チルドレン。それでも役不足であることは否めない。「えらい出世したもんだな。あいつお歳暮贈ってきているかな?」。しきりに首をひねった。

 野村監督は現役時代に長く務めた4番に強いこだわりをもっている。高く評価するのが、第1回WBCで4番に座り、4割超の打率を残して世界一に貢献した松中だ。

 自身の著書でも「松中は無形の存在感があり、国際大会の経験で、彼をしのぐ選手はいない。4番に座っているだけで、味方には安心感を、相手には威圧感を与える」と大絶賛していた。北京五輪惨敗後には、故障を理由に代表入りを辞退していた松中に「あんたが出ていれば勝っていたわ」と直接伝えたほどだ。

 もう1人の推奨選手、細川は右肩が万全でないため落選。「捕手は城島を使うんか? フンっ。10-0の試合を目指しているんだから、誰でもいいんだろ。(原監督は)そこまで緻密なことを考えている監督には見えん」と吐き捨てた。

【プライドはズタズタ】

 北京五輪からの続投が既定路線だった星野仙一氏が、惨敗によるバッシングで就任を固辞するなど紛糾した昨秋のWBC監督問題。世論の支持を集めた野村監督は、代表監督の有力候補として、「WBC体制検討会議」のメンバーに入りながら周囲の同意を得られず、あえなく落選した。そして、今度は自分が推奨した選手までも切られる仕打ち。日本球界きっての知将としてのプライドはズタズタだ。

 「(松中と細川は)俺が『使え』と言ったから外れたんじゃないの? 余計なこと言わなきゃよかった。捕手と4番、大事なところが外れるのはな…」。そして、続けた。「2人を外したら、タダじゃおかない」。楽天のまな弟子、岩隈、田中両投手が残ったことが、せめてもの救いか。

 自信をもって28人のサムライを選んだ原監督。“それ見たことか。年寄りの言うことは聞くもんじゃ”と、あとから野村監督に言われないためにも、3月5日開幕のWBCでは、何が何でも勝つしかない。

【WBC日本代表落選した選手】
投手 岸 孝之(西武)
   和田 毅(ソフトバンク)
捕手 細川 亨(西武)
野手 栗原健太(広島)
   松中信彦(ソフトバンク)

ZAKZAK 2009/02/24
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