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 阪神は10日、井川慶投手(27)のポスティング・システム(入札制度)による、米大リーグへの移籍を認めることを発表した。この日、大阪市内のホテルで2回目の交渉が行われ、正式に決定した。03年から訴え続けてきた夢がかなった井川は、阪神だけでなく、日本代表としての誇りを胸に、アメリカで現役生活をやり遂げる不退転の決意を示した。
 無数のフラッシュを浴び、夢を携えた瞳がひときわ輝いて見えた。03年から球団に思いを伝え、4年目を迎えた秋に、ついに実った恋心。「やっと夢の舞台に立てたと思うとうれしい」。メジャー挑戦を容認された井川は、希望に満ちた晴れやかな笑顔を浮かべていた。
 「ポスティングを認めてくれた球団に感謝しています。やるからには阪神の代表、日本の代表として恥じないような成績を収めたい」
 新たなスタートに、揺るぎない誓いを立てた。故郷・水戸を離れ、腰痛を抱えて虎の門を叩いたのが、98年のこと。笑い、苦しみ、ときに涙を流したタイガースでの9年間。阪神の一員として、日本人として。「代表」の言葉に込めたのは、井川なりの誇りだった。
 「(自信は)もちろんあるから言ってます。タイガースの代表というのと、日本から出るので、自分がもし失敗したら次から行く人に迷惑がかかってしまう。それを思って代表と言いました」
 夢を抱いて海を渡る以上、見守ってくれる人の夢は奪えない。「行く限りは向こうで(現役を)やり遂げようと思います」。アメリカの大地に骨を埋める覚悟だ。
 牧田社長は「選手の希望による移籍は、FAだけと理解している。井川君が前例になるとは考えてない」と説明。「特例」だからこそ、応える責任もある。背中に集まるのは、星の数ほどの期待。自分を理解してくれた球団、支えてくれた友人、温かい声援を送ってくれたファンの存在…。
 「ファンの方々にも認めてもらえて、本当に感謝してます。甲子園を去るのは寂しいですけど、自分の夢に向かって頑張りたい」
 早ければ、来週中に入札に向けた手続きが行われ、今月中にもメジャーリーガーの一員となる。さようなら、そしてありがとう、タイガース。慣れ親しんだタテジマに別れを告げ、世界の井川へと大きく羽ばたく。

【2006/11/11 デイリースポーツ】
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