シアトル・マリナーズのイチロー外野手は18日、本拠地セーフコ・フィールドで行われたニューヨーク・ヤンキース戦に1番ライトで先発出場。自身初のサヨナラ本塁打を放つなど、5打数4安打、2打点、1得点の活躍で打率を.357に上げた。イチローは前日の試合でも延長14回にサヨナラヒットを放っており、2試合連続の殊勲打となった。一方、5番指名打者で先発出場した松井秀喜は、4打数1安打。試合はマリナーズが3対2でサヨナラ勝ち。

 9回裏、2死走者なし。敗色濃厚の場面で、代打マイク・スウィーニーがヤンキースの守護神マリアーノ・リベラ投手の初球をとらえて二塁打を放つと、打席にはイチロー。ヒットで同点という状況なら、かなり現実的な展開。それを知る地元ファンは、総立ちでイチローを送り出したが、結果はそれを越えるものだった。

 スウィーニーに続いて初球を狙ったイチローの打球は、高い弧を描くと、ライトスタンド中段に消えた。

 昨日は一塁ベースを回ったところで大逃げを打ったイチローだが、この日はホームに戻らなければならず、逃げられない状況。ベース前で手荒い祝福をしようと待ち構えるチームメートを見てスピードを緩めたものの、やがて「コマネチ」のようなポーズをしたあと、一気に輪の中に突っ込んでいった。その後はもうもみくちゃ。イチローがどこにいるか分からないほどだった。

 ダッグアウトに戻るとスタンドからイチローコールが沸き起こり、イチローはそのカーテンコールにも応じる。セーフコ・フィールドでは初めてのこと。さすがのイチローも、顔を紅潮させていた。

 メジャー入り以来、一度もなかったサヨナラヒットを今年7月に打った。すると今回は2試合連続。野球の奥深さが、そこにのぞく。

 最後の一発までは、むしろ敗戦の戦犯となりそうだった。

 イチローは3安打を放っていたものの、2度もけん制で刺された。ボーク紛いのけん制とはいえ、らしからぬプレーだった。3回は完全に裏をかかれ、一塁でタッチアウトになるのを避けようと、イチローが二塁に向かったため、記録的には盗塁死。7回は頭から戻ったが、判定はタッチアウト。リプレーを見ると、イチローの手はタッチよりも先にベースに辿り着いていたものの、判定が覆ることはなかった。

 ただ、そんな中での9回。イチローのひと振りは、劇的であり、刺激的。ホームでメジャー通算2000本安打、9年連続200安打を達成をできなかったお詫びなのか、地元でのイチローショーが続く。

【Game Notes】

・イチローのサヨナラ本塁打は、メジャー初。

・イチローのサヨナラ打は2試合連続、今季3度目。通算でもメジャー3度目。

・シーズン13度目のサヨナラ勝ちはマリナーズのチーム記録。

・フェリックス・ヘルナンデス投手が9回を8安打、2失点に抑え、16勝目をマーク。防御率も2.45とし、サイ・ヤング賞に大きく近づいた。

・ホセ・ロペス二塁手が今季90打点目をマーク。

・ヤンキースのマリアーノ・リベラ投手は、1997年8月23日から27回連続でマリナーズからセーブを挙げていたが、ついにそれが止まった。


【2009/9/19 ISM】

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